永井ヴェルディの切り札に!? 鋼の肉体を持つ韓国人ストライカーは昇格への武器となり得るか?

2019年08月14日 海江田哲朗

移籍後初出場のゲームは不完全燃焼に終わる

27節の鹿児島戦で東京Vでの初出場を果たしたカン・スイル。写真:滝川敏之

 鍛え抜かれた鋼の肉体の持ち主だ。
 
 東京Vが夏の補強としてタイのラーチャブリーFCから獲得した韓国人ストライカーのカン・スイル。7月の加入当初に故障して出遅れていたが、8月11日のJ2リーグ27節・鹿児島戦でついにベールを脱いだ。


 2トップの左で先発したカンは、ドリブルで突破を仕掛け、激しい守備でもスタンドを沸かせたが、54分に交代。シュートを1本も打つことなくピッチから退いた。ゲームは2点のビハインドを背負った東京Vが終盤に3点を奪って逆転したが、リードを守り切れずに追いつかれ、3‐3のドロー決着となった。
 
「まずは初めて自分を起用してくれた監督に感謝したい。チームを勝利に導ければさらによかったんですが、それが叶わずに悔しいです」(カン)
 
 ハーフタイム、永井監督はカンに対して、厳しく叱咤したという。
 
「期待値の高い選手だけに、前半のパフォーマンスには納得していないとはっきり伝えました。求める役割が伝わり切っていないところがあり、初めてのゲームでよくやってくれた部分もありますけどね」(永井監督)
 
 移籍後初出場のゲームは不完全燃焼に終わり、カンは今後に目を向ける。
 
「戦術面であったり、周囲の選手と細かいところをすり合わせていくのが大事。チームのやり方に対し、自分の理解を深めていく作業に取り組んでいきたい」
 
 その点はカンの責任だけではなく、チームメイトとの相互理解が基本だ。内田達也は言う。
「カンは個人で局面を打開できる選手。練習でも止まっている状態から相手をはがしていくプレーを何度も見せています。今日のゲームも突破しかけたところはあったんでね。もっといい状況で彼にボールを渡してあげることができれば、あのスピードはより生かせるでしょう」
 
 
 球際の競り合いを制する屈強なフィジカル、一気に加速する瞬発力など、持ち味の片鱗は示した。あとはその能力を全開にできる形を多くこしらえていくだけだ。
 
 パスワークを基調とする永井監督のスタイルは、アカデミー出身者を中心に足元のボールコントロールに長けるタイプが主流を占める。そこで、高さ、強さ、速さの三拍子そろったアスリートであるカンは異彩を放つ。
 
 この個性をいかにしてチームに組み込み、得点力アップにつなげていくか。これから東京Vが上位進出を狙うにあたり、ここは重要なカギを握りそうだ。
 
取材・文●海江田哲朗(フリーライター)

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