「全く目指せない場所じゃない」久保建英とは超高校級の逸材たちにとっていかなる存在なのか?

2019年08月07日 安藤隆人

全国優勝でもJ1クラブ内定でも“勘違い”できない大きな理由

同じ高校3年生世代の西川(10番)、久保(27番)、染野(9番)。高校トップクラスの逸材も、さらなる世界の高みに目が向いている。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 桐光学園の初優勝で幕を閉じた沖縄インターハイ。3年生で注目を集めた選手のうち、鹿島アントラーズ加入内定の尚志FW染野唯月と、セレッソ大阪加入内定の桐光学園FW西川潤の2人が上位進出を果たした。
 
 尚志はベスト4までコマを進めるが、準決勝で富山一に0−1で敗れ、悲願の全国制覇は達成できず。染野も今大会は怪我の影響もあり、途中出場がメインで、先発出場は準決勝の富山一戦のみ。結果ノーゴールに終わり、悔しい大会となった。


 一方で西川は3回戦までノーゴールだったが、準々決勝の西京戦で2ゴール、準決勝の京都橘戦でも決勝点を挙げ、2年連続の決勝進出。そして富山一との決勝では決勝点に絡み、悲願達成に貢献した。両者の明暗はくっきりと分かれたが、2人とも将来を嘱望された選手であることは間違いない。高校のトップレベルを走る選手として大きな注目を集めるが、彼らには『勘違い』できない大きな理由がある。
 
「ストライカーは点を決めてチームを勝たせるのが役割。西川選手はそれが出来て、僕は出来なかった。そこは自分より格上かなと思います」
 
 染野は西川に対してこう口にすると、西川自身も「注目されることに嬉しいという思いはないです。正直、『他にもいるのに』、『もっとすごい選手はいるよ』と思っています。久保建英(レアル・マドリー)選手や(斉藤)光毅(横浜FC)はもう第一線で活躍をしていますから」と口にする。
 
 つまり彼らの同年代は常に『上には上がいる』のだ。西川の口から出た久保はすでにJリーグで結果を残して、世界トップレベルのレアル・マドリードに完全移籍し、斉藤は横浜FCで今季すでにJ2リーグで5ゴールを挙げている。
 
「光毅は昨日(J2・25節の東京V戦)もすごいゴールを決めていました。映像で見ていて、本当にすごいなと思いましたし、自分はまだまだ満足していられる状況じゃないと感じました。もっともっと成長しないといけないし、もっと存在感を出してやっていかないといけないと思っています」(西川)
 
 上には上がいることを認識することで、彼らに慢心を生み出すことなく、同時にライバル心を燃え上がらせることで、より大きな向上心につながっている。

次ページ「僕はどう考えても決してナンバーワンではない。その環境はすごくありがたい」(西川)

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