関根貴大はもはや不可欠な”切り込み隊長”。欧州帰りのドリブラーが浦和に再びもたらしたもの

2019年08月05日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「10.7本」だった平均シュート数が関根の加入後は「14本」に

名古屋戦でも果敢なドリブルで何度もチャンスを演出。圧巻のゴールが生まれたのは、後半アディショナルタイムだった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ21節]浦和2-2名古屋/8月4日/埼玉スタジアム2002
 
 J1リーグ21節、浦和レッズを敗戦の危機から救ったのは、この夏に、約2年間の欧州挑戦から帰ってきた関根貴大だった。

 名古屋グランパスに25分までに2点を先行される苦しい展開。前半終了間際に興梠慎三のゴールで1点を返したものの、後半はチャンスをモノにできない時間が続き、試合終盤には焦りだけではなく、30度を超える猛暑による疲労感がチームには漂っていた。
 
 そんな1-2のビハインドで迎えた後半アディショナルタイムに、後半途中に左ウイングバックから右ウイングバックへとポジションを移した関根が大仕事をやってのける。左ウイングバック山中亮輔の鋭いクロスに、DFの目の前に飛び込むように合わせ、弾丸ヘッドをゴールに突き刺すのだ。
 
 関根は、チームに勝点1をもたらした同点ゴールを「(山中が)蹴った瞬間に、『来た』と思って。ジャンプせずにしっかりミートすることだけを考えて頭で合わせました。絶対最後にチャンスが来ると思っていたので、そこを決め切れて良かったなと思います」と振り返る。
 
 関根は、6月28日に復帰してから瞬く間に、浦和の不可欠な戦力となった。20節・ジュビロ磐田戦でアシストを決めると、続く鹿島アントラーズ戦(16節の延期分)でも鋭い仕掛けから度々チャンスを演出し、名古屋戦で値千金の同点ゴール。加入後の3試合で圧倒的な存在感を放ち、攻撃を活性化させているのだ。
 
 それまで1試合平均で「0.78点」だった得点数が、ここ3試合で「1.33点」まで伸び、さらに平均シュート数が「10.7本」から「14本」まで増えているのは、果敢な仕掛けでチャンスを作っている関根の加入が大きく関係しているはずだ。
 
「今日はチャンスメイクのところではなかなか良いシーンを作り出せていなかった」と反省した名古屋戦でも、20分に左サイドから逆サイドの橋岡大樹へと供給したクロスや興梠のゴールの起点となったスルーパスなど、"違い"を作っていたのが、関根だった。
 

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