スピードだけでは限界に… 初芝橋本8強入りの原動力、10番・大谷澪紅がアタッカーとして求めた活路は?

2019年07月29日 安藤隆人

ボールの収まりどころとして存在感を発揮

初芝橋本のエースナンバーを背負う主将の大谷。3回戦では決勝PKをゲットした。写真:安藤隆人

[インターハイ3回戦]初芝橋本1−0高知/7月28日/黄金森公園陸上競技場 (ローン)
 
 とにかく収まる。どんなボールでも足、胸、頭と身体のあらゆるところを駆使して、足もとに収めて、周りの味方に良質なボールを配っていく。
 

 インターハイ3回戦・初芝橋本 対 高知の一戦で、初芝橋本の前線に君臨する背番号10の大谷澪紅(3年)は、172センチと高さはないが、絶妙なポジショニングとフィジカルの強さ、そして足もとの技術を駆使して、ボールの収まりどころとしてその才を存分に発揮した。
 
「ボールを収めて、自分が起点となれば、周りの攻撃力を引き出すこともできるし、さらに自分も前に行けばシュートを打てるので、チームのために身体を張り出す気持ちでやっています」
 
 この言葉通り、左MF西淵啓斗(2年)、右MFの大影朋輝(2年)の両ワイド、河井章人(3年)と山口颯士(3年)のダブルボランチからのクサビのパスや縦パスを、縦横無尽に動きながらしっかりとキープし、周りに展開しながらも、自らもゴール前にスプリントして高知ゴールに迫り続けた。
 
 そして0−0で迎えた66分、大谷は右サイドから入ったクサビのボールに対し、相手DFの前にスクリーンをしながら走り込んで受けると、素早くターンをした瞬間に、FW名願央希(3年)がCBとサイドバックの間のスペースに走り込んでいく姿が見えた。
 
「右サイドに相手のDFが寄っていたのが分かったので、自分が中で受けてターンをすれば、逆サイドが使えると思いました。ターンした時、スペースもあって、自分で持って行ってシュートも考えましたが、央希がいいタイミングで動き出してくれたし、個人技があるので、ラストパスを選択しました」
 
 大谷の正確なラストパスは高知のディフェンスラインを分断し、トップスピードに乗った名願に渡ると、慌てて止めに入った相手DFのファウルを誘い、PKを獲得。このPKを名願が冷静に決めて決勝弾となり、初芝橋本はベスト8に駒を進めた。
 

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