今季プレミアリーグで無敗を誇るも…優勝候補・青森山田はなぜ8強を前に姿を消したのか?

2019年07月29日 安藤隆人

黒田監督は「プレミアで見たことがないものが次々と…」

青森山田は3回戦で北越と対戦し、PK戦の末に敗退。今年も夏のタイトルには縁がなかった。写真:安藤隆人

 [インターハイ3回戦]北越1(5PK3)1青森山田/7月28日/黄金森公園陸上競技場 (ローン)
 
 昨年度の選手権王者、青森山田のインターハイは3回戦で幕を閉じた。今大会の最激戦区に入り、初戦で前橋育英、2回戦で大津と、いずれも有力候補の一角を下しての3回戦進出。この2試合の激戦で負ったダメージはかなり大きかった。

 
 北越との3回戦、立ち上がりから個人技のある選手を揃えた相手攻撃陣に対し、青森山田は後手に回るシーンが多く見られた。16分には北越のFW田中翔のドリブルに対してPKを献上。これはGK佐藤史騎(3年)のファインセーブでことなきを得たが、その後も勢いに乗り切れない展開が続いた。
 
 後半も立ち上がり早々にDF藤吉玲依(3年)に決定機を作られると、48分には再び藤吉に左サイドを突破され、FW庄内碧(3年)に先制弾を浴びてしまった。それでも54分、浦和レッズ入団内定のMF武田英寿(3年)からの右FKを、FW田中翔太(3年)がドンピシャのヘッドを叩き込んで同点には追いついたが、その後でいつもの青森山田の畳み掛けた攻撃が見られないまま、逆に北越に決定機を作られるなど、最後まで苦しい展開から抜け出せなかった。
 
 1—1で迎えたPK戦。先攻の北越に決められると、青森山田1人目のCB藤原優大(2年)のキックは、北越のGK平山颯太(2年)に阻まれる。その後は全員が決めたが、北越も5人全員が成功し、最後のキッカーとなったMF安藤颯士(2年)のシュートがゴールに突き刺さった瞬間に、青森山田の敗退が決まった。
 
「2つの山場を切り抜けて出てくる安心感が絶対に邪魔になってしまうし、それを打ち消すことはなかなか難しい。だからこそ、『ゲーム内で起こることを何回も、何回も自分たちで飲み込んで、自分たちのサッカーを志向することを本気で自分自身に言い聞かせてやらないといけない』と選手たちに言ってはきたが、立ち上がりからよくなかった」
 
 試合後、黒田剛監督は無念の表情を浮かべた。青森山田にとって、この試合が相当難しいものであったのは誰の目から見ても明らかだった。前橋育英、大津との激戦での消耗はもちろん、北越も青森山田と同じ12時キックオフの試合を2試合こなしての3回戦だったが、相当なチャレンジャー精神を持って果敢に挑んできた。結果、立ち上がりから受け身に回り、さらに北越の技術の高さもあり、試合の中でなかなか立て直すことができなかった。
 
「コンセプトをやりきれなかった。事前に立てたプランを志向できなかった。どこかで『なんとかなる』という感覚があったと思う。セカンドを拾えない、カウンターを怖がってラインが少し下がってしまったり、プレミアでは見たことがないものが次々と出てきたのは、疲労もあると思うが、平常心を保てなかったりと甘さもあったと思う」(黒田監督)

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