監督も「誰よりも動いている」と絶賛する働きぶり! 米子北の走り勝つサッカーを支えるのは登録メンバー外の選手たち

2019年07月27日 森田将義

“走ってナンボ”のサッカーは根性論だけでは成り立たない。熱中症対策、コンディション回復にも力を入れる

米子北を裏方で支えるサポートメンバー。万全の体制でチームをバックアップする。写真:森田将義

[インターハイ2回戦]米子北1—0長崎日大/7月27日/南城市陸上競技場
 
 大会直前にU-18日本代表のDF高橋祐翔(3年)とエースのFW植田葉月(3年)が怪我で登録を外れ、先行きが心配された米子北高だったが、1回戦で関大一高戦を4-0で下すと、続く2回戦の長崎日大高戦は前半に奪った先制点を守り切り、1-0で勝利した。
 
 ネガティブな要素を撥ね退ける勝ち上がりを支えるのは、チームの伝統とも言えるアグレッシブなスタイルだ。ボールを奪ったら素早く縦に配給し、前線が競ったこぼれ球をFW陣がフィニッシュまで持ち込む。奪われても、相手DFが落ち着く間もなくFWが追いかけてミスを誘う。前線に連動して、2列目もセカンドボールを狙いに行く。
 
 いわば"走ってナンボ"のサッカーだが、根性論だけでは成り立たない。「やれることを全力でやるのがうちらしさ」と城市徳之総監督が話すように選手が全力を出し切るためのサポート体制も万全だ。特に暑さの中で連戦を戦うインターハイでは、熱中症対策とコンディション回復には力を入れており、サポート役を担う梶貴博コーチは「どこのチームにも負けていない」と胸を張る。

 
 例えば、今では夏の大会のスタンダードになったが35分ハーフの半ばに設けられる3分間のクーリングブレイクやハーフタイムでは、農業用の薬剤散布などに使われる「噴霧器」で選手の身体に霧を吹きかけ、体温を下げる。加えて、米子北は今大会に備えて水に浸して使うとひんやりとした冷たさを感じる冷却タオルを準備した。ほとんどが首を冷やすための物でサイズが小さく、身体全体を冷やすためには一人につき複数枚必要となるため、学校の職員の力も借りながら、100円均一を回って大量に用意した。
 
 さらには、一人につき一枚氷水を入れた"マイ桶"を用意し足首を冷やしつつ、手には氷を握ることで手首も冷やし、血液から身体の温度を下げる。極め付けは、ビニール製のプールで、沖縄に入ってからインターネット通販で急遽取り寄せ、試合後のクールダウンで使用しているという。こうした取り組みの効果はてき面で、主将のDF岡田大和は「相当楽になる。熱いと集中力が持たないけど、後半になっても体温を低く保てるので助かっている」と口にする。

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