【選手権予選】千葉代表は市立船橋か流経大柏か 全国トップクラスの対決を面白くする強烈な“ライバル意識”

2014年11月13日 平野貴也

監督同士でも強烈に意識し合っていた両者。

今季の成績は1勝1分けで市立船橋で優位に立つが、三度目の対決の行方は――。(C) SOCCER DIGEST

 両雄の対決は、やはり避けて通れないようだ。高校サッカー界の超強豪校が一枚の切符をかけて雌雄を決する――。
 
 第93回全国高校サッカー選手権大会の千葉県予選決勝は、市立船橋と流通経済大柏のプレミアリーグ勢対決となった。ともに全国大会上位の常連校。千葉県代表を決めるという意味合いに留まらない、プライドをかけた激戦となる。
 
 前回大会の千葉県予選決勝での死闘は、まだ記憶に新しい。市立船橋のエース石田雅俊(京都)に対し、流経大柏のキーマン小泉慶(新潟)が徹底したマンマークで張り付くという緊張感あふれる戦いだった。
 
 対策を練ったのは流経大柏だけではない。市立船橋は、この決戦を想定してチーム始動時から3バックの併用を用意するという念の入れようだった。技術やフィジカルで高レベルのパフォーマンスを発揮するだけでなく、この一戦を譲らないという気迫が見る者に伝わる白熱の試合は、市立船橋が後半にセットプレーの流れから1点を奪って勝利を収めた。
 
 昨季の市立船橋は、夏のインターハイを制した全国王者。対する流経大柏はそのインターハイの準優勝チームであり、のちに高校勢初となるプレミアリーグチャンピオンシップ制覇を果たす快挙を成し遂げた。両チームは、日本一という夢を描くならば、互いが必ず立ちはだかるという、全国でも屈指のライバル関係にある。
 
 元々は、90年代に布啓一郎元監督が率いる市立船橋が全国区となったのが歴史の始まりだ。現在の流経大柏を率いる本田裕一郎監督は当時、習志野の監督として何度も対峙。習志野も公立校でありながら、インターハイで全国優勝を果たすほどの強豪だったが、本田監督は当時を振り返り「私は当時、個人技にこだわった指導をしていた。練習試合でもドリブルだけでプレーしろと指示をしたこともある。それで市立船橋に勝ってしまったことがあるんだけど、それで布が怒ってしまって、市立船橋は以来二度と練習試合をしてくれなくなってしまった。勝負というものにかける気持ちの強さ、負けず嫌いで布より凄い奴は見たことがない」と常勝軍団としての地位を確立した市立船橋の印象を話した。
 
 市立船橋が誇る堅守とセットプレー、そして勝負強さは、当時から続く伝統だ。市立船橋は、2003年に布氏が退任した後も石渡靖之元監督の下でインターハイを3度制するなど変わらぬ強さを見せていたが、高校選手権では第84回大会で連続出場が途絶え、第87回大会では全国大会の初戦で敗退するなど元気を失っていった。

次ページ今季の対戦は市船の1勝1分けも、流経が簡単に引き下がるはずはない。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事