「日本人が教えたら絶対に強くなる!」西野朗タイ代表監督誕生のキーマンに訊いた邦人指揮官招聘への熱き想い

2019年07月17日 佐々木裕介

日本人監督招聘プロジェクトの中心的人物はガンバ大阪に縁の深いヴィタヤ氏

タイ代表監督に就任が決まった西野氏など、日本人指揮官招聘のプロジェクトによって多数の候補者が挙がったという。写真:滝川敏之(JMPA代表撮影)

 7月1日、タイサッカー協会(以下、FAT)は西野朗氏が代表監督へ就任することを公式ページで発表、ソムヨットFAT会長との笑みを浮かべながらの握手写真を添えたニュースは日本でも駆け巡った。しかし翌日、帰国した西野氏本人から契約をしていない事実を"暴露"され、日泰メディアが騒ぎ立てた。
 
 FATが以前から日本人監督招聘へ向けて水面下で動いていたことは、周知の事実だろう。そのプロジェクトの中心的人物が、松下電器でプレーし、ガンバ大阪のヘッドコーチも務めた経験のあるヴィタヤ・ラオハクル氏に他ならない。
 
 現役時代にも指導者としても、日本を身近に感じてきた彼が、タイサッカーへ日式蹴球思想を取り入れることを良しとする想いには、なんら不思議はない。しかしあの"フライング報道"はどんな経緯があったのか。日本文化を知る彼が居るにもかかわらずだ。
 
 ならば直接ヴィタヤ氏本人から話を聞こうと、タイ国内リーグ戦(ポートFC対チョンブリFC)の試合会場でハーフタイムに待ち伏せた。計画は成功、突撃取材にビックリした表情を見せながらも、流暢な日本語で想いを聞かせてくれた。
 
――ヴィタヤさん、こんにちは。日本のジャーナリストです。
「知ってるよ。顔を憶えているから」
 

――日泰のサッカー市場を騒がせている件について、お話しを聞かせて欲しいのですが。試合終了後の方が良いですかね?
「終わったら直ぐに帰っちゃうから。いまで良いですよ」
 
――助かります。実はいま日本でヴィタヤさんが注目されているんです。
「そうですか……。私も日本のやり方はすごく分かるんです。契約を交わすまで言ってはいけないというね。ただ……(大きな間合いの後に困惑した表情で)難しいね」
 
――ヴィタヤさんがそんなにも日本人指導者へこだわる理由は何なのでしょうか?
「あのね、あのね(間合いがあって)私、今までに何人もの日本人へ声掛けてきたんです。ブラジルやヨーロッパの監督からの売り込みを断ってね。私、日本のサッカーモデルやアプローチの仕方をはっきりと分かっています。タイのサッカーに合うんです。」

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