今季キャリアハイ、32歳Jリーガーのプロを生き抜く秘訣。350試合出場達成の東京V小池純輝は何を実践したか?

2019年07月16日 佐藤亮太

小池が実践したのは「知る→伝える→磨く」のサイクル

今季21試合・7得点と好調を維持する小池。32歳となり、円熟味を増しつつある。(C) SOCCER DIGEST

 J2東京ヴェルディの MF小池純輝が7月14日のJ2リーグ・22節ツエーゲン金沢戦で、歴代17人目となるJ2リーグ350試合出場を達成した。小池のキャリアをたどると興味深い。2006年、浦和レッズの下部組織からトップ昇格したものの、出場機会に恵まれず、09年に当時のザスパ草津(現ザスパクサツ群馬)に期限付き移籍した。ここから小池の"J2渡り鳥"が始まる。

 
 翌10年には水戸ホーリーホック、12年東京V、14横浜FC、16年ジェフ千葉。17年には関東圏を出て愛媛FCに。そして今季、東京Vに復帰とJ2、6チームを渡り歩いた。ひとつのチームで長く在籍する選手がいる一方、これだけ多くのクラブを経て、350試合出場を果たした選手は珍しい。
 
 平均引退年齢26歳。毎年、プロになった人数だけ、ピッチを去る厳しい世界で小池純輝はどうJ2を生き抜いたのか?
 
 その秘訣を小池はこう語る。
 
 自分の特長をよく知ること。次にその特長をチームメイトに伝えること。最後にその特長を磨くこと。「知る→伝える→磨く」この3つの要素のサイクルが重要だという。
 
 的確な自己分析とともに協調性が求められる。そのツカミとなる自己紹介では「エーコと呼んでください」とアピール。このあだ名は女優の小池栄子さんに由来するが、「なぜエーコなの?」「狩野英孝じゃないの?」などと聞かれることから、新天地でのコミュニケーションが始まる。
 
 とはいえ実力の世界。技術とともに汎用性が求められる。もともとFWの小池だが、現在は左右MF、左右SBと幅広くプレーする。複数のポジションで起用されるキッカケとなったのが草津時代の09年。リーグ開幕戦直後、小池は佐野達監督から呼ばれた。
 
「エーコ、後ろできるか?」
「できます!」
 試合に出たい小池に迷いはなかった。次節、未経験の左SBで先発。奇しくもこの試合がJ2デビュー戦となった。
 
「もしFWにこだわっていたら、とっくに現役を終わっていたと思う」
 この判断が大きな分かれ目となった。
 

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