なでしこ選手たちが自ら立ち上げた、画期的な団体“なでケア”って何? 設立に至った理由は

2019年07月12日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

代表理事を務めるのは、なでしこジャパンのキャプテン熊谷

なでしこケアの理事を担う3選手。左から近賀、熊谷、大滝。(C)SOCCER DIGEST

 なでしこリーグ、なでしこジャパンおよび、そのOGたちが立ち上げた一般社団法人「なでしこケア」(通称なでケア)。その設立イベントが7月12日、行なわれた。
 
「女子サッカーの価値向上」と「地域や社会の課題解決」を目的に、女子サッカー選手によって立ち上げられた団体で、代表理事を務めるのは、先に行なわれた女子ワールドカップ・フランス大会で日本代表のキャプテンを務めた熊谷紗希(リヨン)だ。
 
「日本女子サッカーの未来のために、私たち女子選手が何をできるかを考え、探し、行動していきます。そのなかでの新しい出会い、新しい経験から自分たちの世界を広げていきたいです。この活動を通して、女子サッカーの価値を高めるとともに、多くの少女たちに『なでしこみたいになりたい』『なでしこを目指したい』と思ってもらえるような、そんな憧れられる存在になりたいです」
 
 熊谷は今回の団体設立に際して、そうした抱負を語っている。
 
 さらに理事の近賀ゆかり(オルカ鴨川)も「これから女子サッカーのために、そして女子サッカーが社会を元気づけるような存在になっていけるように頑張っていきたい」と意気込む。
 
 近賀はオーストラリアのキャンベラ・ユナイテッド(2016-17シーズン)やメルボルン・シティ(17-18、18-19シーズン)に在籍していた当時、世界各国の選手が自ら各クラブやリーグを盛り上げようとする意識の高さに感銘を受け、日本にももっと積極的に社会に貢献する活動が必要だと感じていたという。

 近賀をはじめ女子サッカーの社会的地位の向上を願う選手たちの声を取りまとめ、団体を創設したのが、フランスのリヨンやパリFCなどで活躍し、FIFAマスターの大学院を卒業していた大滝麻未(現・千葉L/なでしこケア理事兼事務局長)だった。

 きっかけは約1年半前の2017年12月。当時海外でプレーしていた選手同士が集まる機会があり、そこで女子サッカーへの熱い想いを互いに話し合ったことだった。大滝はその後も様々な選手と会話をするようになり、多くの選手が『次世代の選手』『社会』への想いを抱いていることに気付いたという。
 

次ページ難病の子どもたちのいる病院への訪問などを予定

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