「これが世界か」イニエスタの鮮烈ミドルに、対面した“J屈指の潰し屋”米本拓司も驚愕

2019年07月01日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「初めてあんなに綺麗に上回られた」

J屈指の潰し屋の米本をもってしてもイニエスタを封じられず。名古屋は5失点で敗戦を喫した。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J1リーグ17節]神戸5-3名古屋/6月30日/ノエビアスタジアム神戸
 
 和泉竜司の同点ゴールが決まり、反撃の予感が高まっていた矢先の63分だった。
 
 ペナルティエリア手前でこぼれ球を拾ったアンドレス・イニエスタが右足を素早く振り抜く。ゴール左隅に向かって伸びていく鮮やかなミドルシュートは、GKランゲラックの手をかすめながらも、ネットを揺らした。
 
 15節のFC東京戦に続く、ワールドクラスのシュートにスタジアムは大いに沸いた。
 
 驚愕の声をあげたのは、サポーターだけではない。この時、シュートを放ったイニエスタに対応したのは、名古屋グランパスのボランチ米本拓司だ。しかし真正面に立っていたが、あと一歩寄せ切れなかった。
 
「完全に上回られた。初めてあんなに綺麗に上回られた。これが世界か、と思った」
 
 米本は悔しながらに、失点シーンをそう振り返る。J屈指の潰し屋とも言われる米本をもって初めて体感したと言わしめるスーパーゴールだった。
 

 そのインパクト特大のゴールの後も壮絶な打ち合いを続けたが、名古屋は3度ビハインドを追いついた時点で息切れ。80分から2点を追加され、最終スコア3-5で白星を逃した。
 
 名古屋はこれでリーグでは6試合勝ちなし。それまではトップ3に位置づけ、上位を争っていたが、ここに来て一気に勢いを失っている。
 
 フル出場した米本は「チームとしてどうやるかをもっと理解しなければいけない。こういう状況でチーム一丸となって戦うことが大事ですし、ここでバラバラになったら、本当にズルズルいくだけなので、一日でも早く、こういう状況を脱せられるように、一丸となって頑張りたいと思います」と危機感を募らせる。
 
「それでもこっちが先に点を取っていたら違う展開になっていたと思う。それを今言ってもしょうがないですけど、撥ね退けられるように実力をつけられたいと思います」
 
 米本はこの悔しさをバネに、チームを浮上させられるか。スーパーゴールを防げなかった鬱憤を次節、晴らしてもらいたいところだ。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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