久保建英のマドリー移籍をスペインの名物記者はどう見たのか?「活躍する可能性は十分にある。だがバルサに行くべきだった」

2019年06月19日 ヘスス・スアレス

どのスペイン人選手よりも“反逆的”だった

マドリー加入が決定した久保。まずはBチームでのアピールが求められる。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

「スペイン人のメンタリティーを持った日本人選手」

 私が、14歳の久保建英のプレーを見たときの印象である。それは現在、プロになった彼の映像を見ても、少しも変わっていない。

 日本人らしく、俊敏かつボール技術に長け、素早く動き回れる。小柄だが、状況判断に優れ、コンビネーションを使うのも上手い。日本人は、このタイプの選手が欧州リーグで最も活躍している。

 久保の場合、左利きであるのも大きな利点と言えるだろう。そしてなにより、スペイン人のようなパーソナリティーを感じさせる。ピッチの中で、強い自己主張と闘争本能を露わにする。14才当時から積極的に声を上げ、味方に指示し、敵と睨み合い、判定にも不服を言っていた。他のどのスペイン人選手よりも、"反逆的"だった。

 18才になった久保が、新天地となったレアル・マドリーで活躍することができるのか?

「相応の能力はある」

 それが現時点での私の答えだ。
 
 言うまでもないが、マドリーで活躍するのは簡単な話ではない。そもそも、今のマドリーは低迷したシーズンを過ごした後、変革のプロセスにある。誰が残って、主力になるかも分からない。久保のポジションは攻撃的MFになるはずだが、エデン・アザール、イスコ、マルコ・アセンシオ、ルカ・モドリッチなど経験のある各国代表選手が大勢いる状況だ。

 久保はまず、カスティージャ(マドリーのBチーム)で実力を示す必要があるだろう。そこで、ジネディーヌ・ジダン監督が注目するプレーを見せられるか。その点は、すでに記したように「相応の能力はある」と言える。

 ただ、能力は将来を保証しない。

 例えば、2015年に16才でマドリーと契約したノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴーは、久保の「教訓」となるだろう。ウーデゴーは左利きの俊敏なアタッカーで、バルサとの争奪戦の末、マドリーに入団。トップチームの親善試合に出場しつつ、カスティージャで経験を積むはずだったが、懦弱さの方が目立った。結果、現在はオランダの中堅クラブ(フィテッセ)に貸し出されている。
 

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