昨夏世界を制した「ヤンなで」主将が女子W杯デビュー! “憧れ”熊谷紗希とのコンビで無失点に貢献も自己評価は厳し目?

2019年06月11日 西森彰

アンダー世代では、ふたつの世界大会で金メダルを獲得!

センターバックでフル出場した南。アンダー世代で金メダルを取り続けてきた経験を活かしたい。写真:早草紀子

[女子W杯グループリーグ第1戦]日本0-0アルゼンチン/6月10日/パリ
 
 約1年ぶりにフランスへ帰ってきた南萌華。昨夏、世界を制したヤングなでしこ=U-20日本女子代表でキャプテンとして戦った彼女が、この日のスターティングメンバーに選ばれた。横にいるA代表キャプテン熊谷紗希とのコンビは、幾度かのピンチを凌いで無失点で終えた。勝点3という結果はついてこなかったが、上々の初戦だったのではないだろうか。
 

 高倉麻子監督は、若い選手たちの逞しさを「世界を制した自信」に結びつけることが多い。そういう意味で、南は昨夏のU-20女子ワールドカップ以外に、U-17女子ワールドカップの優勝メンバーでもあり、世界大会の金メダルをふたつ保持している。
 
 優勝した2大会で、南の役割は異なっていた。昨夏のU-20ではキャプテンという重責を担った南だが、2014年のU-17女子ワールドカップ(コスタリカ)では、パラグアイ戦に出場しただけで、ベンチを温める時間が長かった。そうしたポジションの経験が発奮材料にもなった。
 
 以後、浦和レッズレディースでも徐々に頭角を現わし、2018年にはレギュラーポジションを手にしている。そしてU-20女子ワールドカップ優勝を経て、昨秋、鳥取でのノルウェー戦に備えた代表合宿に招集を受ける。チャンスの女神に後ろ髪はない。常に準備をしてきた南は、タイミングを逃さなかった。
 
 アメリカ遠征前には「(将来的には)代表に定着していきたいなとは思っているんですけれども、一つひとつの合宿に呼ばれることが目標。そしてそれぞれの合宿でしっかりとアピールをして、その先の女子ワールドカップまでしっかり選ばれたいと思っています」と、地に足のついたコメントを残していた。
 
 そして「リスクを減らしてタテに急ぐU-20」と「後ろから丁寧につなぐなでしこ」の違いにも、「本質的な部分では、日本のサッカーはどのカテゴリーでも大きく変わらない」とポジティブに取り組んで、アメリカ遠征2戦目のブラジル戦で初キャップを刻む。ここからFIFAランキング上位の強豪国とのゲームに5試合連続出場。女子ワールドカップ初戦のピッチに立った。
 

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