【消えた逸材】18歳で衝撃を与えたマンCのマイケル・ジョンソン。その後は怪我と飲酒運転による二度の逮捕で…

2019年06月11日 田嶋コウスケ

「若かりし頃のバラックを彷彿とさせた」(ハマン)

18歳でマンCのトップチームにデビューしたM・ジョンソン。トントン拍子で成長していたのだが……。 (C)Getty Images

 2013年1月、ある一枚の写真が英国で話題になった。そこに映っているのは、まるまると太った一人の男性。わずかに笑みを浮かべている。場所は、マンチェスター市内にあるテイクアウト専門の中華料理店。頬は丸みを帯び、体型が不摂生な生活を物語る。
 
 その男性が、「イングランドの宝」と謳われたマイケル・ジョンソンだったことに世間は驚いた。このとき24歳。わずか18歳でマンチェスター・シティのファーストチームにデビューを果たし、行く行くはイングランドを背負って立つ存在になっていく――。そう期待されていた逸材の変わり果てた姿に、イングランドのサッカーファンは思わずため息を漏らした。
 
 しかも、写真が撮影される1か月前に、マンチェスター・Cを解雇されていた事実が後に明らかになる。クラブからの正式な退団発表はなく、ツイッターの写真が話題になって初めて、ジョンソンの放出と現役引退が世に知らされたのだった。
 
 10代の頃は順風満帆だった。リーズの下部組織でサッカー人生を歩み出し、04年、16歳でマンチェスター・Cのユース部門に移る。2年後にプロ契約を結び、06年10月に1軍デビュー。トントン拍子でステップアップしていった。
 
 チームメイトだった元ドイツ代表MFのディトマール・ハマンは、「若かりし頃のミヒャエル・バラックを彷彿とさせた」と振り返り、こう続けた。「広い視野を持った優れたパサーであり、ゴール嗅覚も鋭い。おまけに、ゲームを読む力も抜群だった。あれほどの才能を持った若手は、これまで見たことがなかった」
 
 ハイライトは07-08シーズンのプレミアリーグ第2節、ダービー戦の決勝弾だろう。43分、ハーフウェーラインやや右寄りの位置からドリブルで持ち上がり、一人を抜き去った後に味方とのワンツーでさらに敵陣深くに進入。最後はペナルティーアークから右足アウトサイドのシュートでGKの頭上を抜いた。18歳で決めたプロ初ゴールだった。
 

次ページ引退から2年後に不動産業に転身するも…。

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