【日本代表】「トミ! トミ!」記者席にまで届いた昌子源の“声”にCBの矜持を見た

2019年06月10日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「自分は自分の良さを試合で出すだけ」

エルサルバドル戦では腕章を巻いてプレー。3バックの中央に入り、冨安、畠中と上手く連係しながら、隙のないディフェンスで失点を許さなかった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ2019]日本×エルサルバドル/6月9日/ひとめぼれスタジアム宮城
 
 トリニダード・トバゴ、エルサルバドルと対戦した6月シリーズで、森保ジャパンでは初めて3-4-2-1システムが導入された。様々なポジションで様々な選手が試されたなか、3バックの顔ぶれは2試合とも変わらなかった。
 
 右から冨安健洋、昌子源、畠中槙之輔。2試合とも3バックの中央でプレーした昌子は「ふたりともすごく良い選手」と冨安、畠中について語り、「彼らの強みは対人だと思っている。そこを活かせるように、僕はできるだけ後ろでサポートしようと考えていた」と続けた。
 
 冨安も畠中も、昨夏のロシア・ワールドカップ以降、代表の一員となった選手。つまり森保一政権下で台頭してきた"新戦力"だ。さらに、今回は招集されなかった吉田麻也ほか、エルサルバドル戦を前に負傷離脱した槙野智章、鹿島の元チームメイトの植田直通、東京五輪世代の有望株である中山雄太など、ベテランから若手までCBは多士済々だ。
 
 レギュラー争いはますます激しくなりそうだが、エルサルバドル戦ではキャプテンマークを巻いた昌子は「CBにもいろんな選手が出てきたけど、自分は自分の良さを試合で出すだけです」と言い切る。
 
 では、昌子の良さとは何か。そのひとつが「声」だ。
 
 エルサルバドル戦で、試合が始まってしばらくすると、隣に座る同僚が問いかけてくる。「あれ、昌子の声ですよね? めっちゃ聞こえてきますね」。
 
 たしかに記者席にもその声は届いていた。たとえば「トミ! トミ!」と、冨安を呼ぶ背番号3の大きな声が。
 
「たぶん、(観客の)みなさんは試合に見入っていたと思うんですよ」(昌子)
 
 会場を盛り上げ、選手たちを後押したのは間違いないが、これまでの日本代表の試合と比べて、応援が途切れたり、声援の"ボリューム"がやや大人しかった印象ではある。試合が行なわれた「ひとめぼれスタジアム宮城」にはトラックがあり、スタンドとピッチの距離が多少、離れていることも関係していたかもしれないが、いずれにせよ「声がよく通った」(昌子)ようだ。
 
 その声、指示がよく聞こえたと、昌子に告げると「それもひとつ俺の強みやと思うから」と応じる。
 
「90分間、ずっと叫んでいたつもりだし、そうやって『聞こえたよ』っていうのは、僕にとっては誉め言葉。昌子選手の声しか聞こえなかったよっていうぐらい、ずっと声を出すのが、僕はCBだと思うので」
 

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