すっかり代表ユニホームが似合う男に。“急成長中のスピードスター”伊東純也の進化は止まらない

2019年06月10日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

ドリブルは、より切れ味を増し、また力強くもなった

伊東はエルサルバドル戦で先発出場。持ち前の切れ味鋭いドリブルで度々チャンスを演出した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ]日本2-0エルサルバドル/6月9日/ひとめぼれスタジアム宮城

「ロシア・ワールドカップ、選ばれる自信はあるか」

 2018年4月、伊東純也は物憂げそうにこう答えた。

「もちろん出たいですけど、正直、厳しいと思います」
 
 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督から西野朗監督に代わり、日本代表チームは大きく揺れていた時期だ。新指揮官が誰をメンバーに選ぶのかは分からなかったが、伊東が当落線上にあり、どちらかと言えば落選濃厚の空気が漂っていたのは確かだった。

 当時柏レイソルに所属していた伊東は、国内組だけで参加した前年12月のE-1選手権で代表デビューを飾ったものの、海外組を含めたメンバーには一度も入ったことがなかったからだ。結果は既知の通り。

 しかし、そんな発言から1年余りで、いまや、すっかり日本代表のユニホームが似合う男になった。

 ロシア・ワールドカップ後の18年7月、森保一体制が発足すると、初陣となった9月のキリンチャレンジカップからコンスタントに呼ばれている(今年3月のコロンビア戦とボリビア戦を除いて、招集され続けている)。
 
 今年の2月には、ベルギーのヘンクに移籍を果たすと、瞬く間にレギュラーの座を勝ち取り、国内リーグ優勝に貢献。まさに飛躍的なステップアップを遂げ、人間としても選手としても逞しさを増している。
 

 そんな著しい進歩は、エルサルバドル戦でのプレー面からも見て取れる。JリーグのDFをきりきり舞いさせた快足を活かしたドリブルは、より切れ味を増し、また力強くもなった印象だ。
 
 右ウイングバックで先発した伊東は、立ち上がりからフルスロットルで右サイドを駆け上がり、度々チャンスを演出。6分には相手陣内でボールをかっさらうと、そのままペナルティエリアに侵入し、鋭いクロスで原口元気のシュートをお膳立てした(原口のシュートは惜しくも枠の上に外れたが)。
 
 伊東自身はそのシーンを振り返り、「ちょっと焦ってしまったというか、仲間を使うことしか考えていなかったので、シュートの意識があればもっと良かったかなと思う」と反省したものの、DFふたりを置き去りにしたドリブルは見応えがあった。
 

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