長友と酒井が「スコアラーWB」になれるか。3-4-2-1採用時の日本代表が得点力を上げる鍵は?

2019年06月07日 白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

ゴール前に「人が足りない」ケースが多かった。

3-4-2-1ではWBを担う長友(右)と酒井(左)。写真:山崎賢人、金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 令和最初の日本代表戦となった6月5日のトリニダード・トバゴ代表戦で森保一監督は、これまで基本形としてきた4-4-2(4-2-3-1)ではなく、3-4-2-1(3-4-3)の新システムを採用。9月に始まるカタール・ワールドカップ予選も見据えて、新たなオプション作りに乗り出した。
 
 ボール支配率が60.7%、シュートが25本(相手は5本)というスタッツが示す通り試合を支配しながら、しかし結果はスコアレスドロー。シュートは可能性の低いミドルレンジからのものが多く、良い形でのフィニッシュは数えるほどしかなかった。
 
 その大きな理由のひとつが、WBを務めた長友佑都と酒井宏樹がフィニッシュにあまり関われなかったことだ。従来の4-4-2ではSBとしてサイドに幅を作り、クロスを狙うのが主な役割になる2人だが、3-4-2-1のWBだとチャンスではゴール前に詰める仕事がより求められる。
 
 4-4-2の森保ジャパンは、SBがサイドを抉ってのクロス、もしくは後方からスルーパスを狙っても、中央のゴール前では2トップと両サイドハーフの計4人が受け手になれていた。
 
 しかし3-4-2-1で臨んだトリニダード・トバゴ戦では、WBが敵SBの裏を突いてサイドを突破してクロスを狙っても、中央で待っているのはCFの大迫勇也とシャドーの中島翔哉と堂安律と多くて3人。中島か堂安の仕掛けからの崩しでは、中央に2人しかおらず、しかもいずれもダブルマークに遭い身動きができないというケースも少なくなかった。
 
 フィニッシュにおいて最も得点率が高いペナルティーエリア内中央の重要なゾーンに"人が足りない"のでは、ゴールが生まれる可能性はもちろん下がる。堂安が試合後に「前の人数が(4-4-2と比べて)1人減るので、サイドを含めた連携が大事になる」と語っていたのは、実に示唆的だ。
 

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