キーマンはリパプールの両SB、トッテナムはケインよりも“快足コンビ”を起用すべし!【英紙エース記者のCL決勝展望】

2019年05月31日 オリバー・ケイ

「近年のリーグタイトルをもたないもの同士」は史上初

11年ぶりに実現したプレミア勢同士のCL決勝。トッテナム(上)は初優勝、リバプール(下)は14年ぶりの戴冠を狙う。(C)Getty Images

 現地時間6月1日、チャンピオンズ・リーグ(CL)のファイナルがスペイン・マドリードで開催される。リバプール対トッテナム。11年ぶりに実現したプレミアリーグ勢対決は、どんな一戦になるのか。

 英国の高級紙『ザ・タイムズ』で活躍するオリバー・ケイ記者に、この大一番を占ってもらった。イングランド・サッカーに精通する敏腕記者は、この一戦をどう見ているのか――。

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 昨シーズン、チャンピオンズリーグ(CL)グループステージのマリボルとのアウェー戦の前日会見で、リバプールのユルゲン・クロップ監督はある現地記者にこう訊かれた。

「あなたにはファンとメディアを心酔させるほどのカリスマがある。けれども、なぜビッグタイトルを取り逃がしてしまうのか」

 ヘッドフォンで同時通訳される質問を聞きながら、クロップの表情は変わっていったが、最終的には笑顔で次のように答えている。

「つまり、私はカリスマ性を持つ残念な敗者ってことだね? ありがとう。ノーコメントだ」
 
 もちろん、そんなことはない。クロップは世界のベストマネジャーのひとりだ。ただし、2011-12シーズンにドルトムントで国内2冠を達成してから、彼のチームは何度も惜しいところまで行きながら、優勝を逃してきた。12-13、13-14シーズンにはブンデスリーガで2位、12-13年のチャンピオンズリーグで準優勝、13-14、14-15シーズンのドイツ・カップで準優勝、リバプールに移って15-16年のリーグカップとヨーロッパリーグで準優勝、17-18シーズンのチャンピオンズリーグで準優勝、そして18-19シーズンのプレミアリーグで2位になったばかりだ。

 昨シーズンのCL決勝までの道のりは、ポジティブな"無鉄砲さ"のようなものが感じられ、頂上決戦ではレアル・マドリーに屈した。だが今シーズンの歩みは、印象が大きく異なる。

 今回のトッテナムとのファイナルでは、リバプールが有利と見られている。クロップとリバプールにとって、2012年以来のメジャータイトル獲得の大きなチャンスだ(リバプールはその年にリーグカップ優勝)。むろん、それによるプレッシャーもあるはずだが。

 対するマウリシオ・ポチェッティーノ監督の率いるトッテナムも、「惜しいチーム」と評されることが多い。彼らの成長は明らかだが、大きなタイトルには手が届いていないのだ。リーグカップでは準優勝が一度、ベスト4が一度、FAカップでは準優勝が二度、過去4シーズンのプレミアリーグでは3位、2位、3位、4位。クロップのリバプールと同様に、その大きな進歩を証明するために、トロフィーが必要なのだ。

 このような2チームによって争われるファイナルも珍しい。過去数年の国内リーグのタイトルを持たないチームの決勝進出は過去にもあったが(1999-00、00-01シーズンのバレンシアや01-02シーズンのレバークーゼン)、両チームともに近年のリーグタイトルをひとつも獲得していないのは、大会史上初だ。

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