鈴木武蔵を急成長させたミシャの教えと転機になったひと言「もっと楽しんでプレーしたらどうだ?」

2019年05月31日 斉藤宏則

ミシャの指導は「過去に僕が指導を受けてきた監督とは正反対のやり方」

札幌で成長を続ける鈴木。日本代表ではどんなプレーを見せるのか。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

「どちらにも勝つチャンスがあったなかで勝ち切れず、残念に思っている」「ビルドアップもある程度うまくできていたし、攻撃の形も良かった。そのなかで得点ができないのはもったいない」
 
 25日のガンバ大阪戦後、札幌のFW鈴木武蔵はスコアレスドローに終わった90分間をそうやって振り返った。チームとしては3戦無得点。前出以外にも「(得点の)チャンスはあったから、自分が決めていれば…」と悔しがった。鈴木自身としてもリーグ戦では10節以来得点がない状況。来月のキリンチャレンジカップに唯一の国内組FWとして選出されたストライカーの成績としては、もの足りなく映ってしまうのかもしれない。
 
 ただし誤解を恐れずに記せば、本人は決して悲観的なスタンスではなく、むしろ「ボールを受けるタイミングだったりポジショニングのところは、間違いなく向上している実感はある」ときっぱり。もちろん「まだまだ十分ではないけれど」とも続けてはいるものの、自身のパフォーマンスに対しては決して悪いイメージを抱いていない様子だ。
 

 札幌に移籍した今季、鈴木は「カウンターやクロスからはある程度、得点を取れるようになってきた自信はある。そこに加えて、札幌では引いた相手を崩して得点を奪うプレーをミシャさん(ペトロヴィッチ監督の愛称)のもとで身に着けたい」と話している。昨季は長崎で11得点。グループでのコンビネーションで相手守備を崩しにかかるペトロヴィッチ監督の戦術が自らのプレーの幅を大きく広げてくれて、得点も増やせるはずだと信じている。

 そして適正な速度か否かはわからないが、現在着実に自分のものにしつつあるということなのだろう。ここ3戦は無得点に終わっているが、対戦した3チームはどれも後方に人数を割いていた。そうした相手からなかなか得点できていないというのはひとつの現実ではあるが、実戦で対峙しながら感触を掴んでいる段階だとも言える。
 
 ペトロヴィッチ監督のもと、いままでにない指導を受けている。たとえばラストパスを受けるような時は「動き過ぎるな。ギリギリまで我慢をして、そこから一気に動き出せ」と日々、アドバイスをされている。これは鈴木にとって「過去に僕が指導を受けてきた監督とは正反対のやり方」だという。現在、リーグ戦では4得点。それらはどれもカウンターやクロスを頭で合わせてのもの。ペトロヴィッチ監督のもとで体得したプレーで得点を重ねるには、それこそもう少しの我慢が必要なのだろう。
 

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