【FC東京】エグすぎる決勝弾。久保がシュートシーンで意識したのは…

2019年05月12日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

インパクトの瞬間は「あまり覚えていない」

鮮やかな弾道のシュートで決勝点を奪った久保。シュートフォームも美しい。写真:サッカーダイジェスト

 前半からFC東京は攻めあぐねた。ディエゴ・オリヴェイラと永井謙佑の2トップがあまり見せ場を作れず、右サイドの久保建英もチャンスに絡めない。後半に入ると、磐田に主導権を握られる時間帯もあり、0-0のまま試合は終わるのではないかという雰囲気が漂っていた。
 
 しかし、一種どんよりした雰囲気を打ち破ったのが久保だった。終盤の84分、セットプレーのこぼれ球を、左足でジャストミート。芸術的なダイレクトボレーで、その前まで鉄壁を誇っていたGKカミンスキーの頭上を抜く。後半途中までパッとしなかった久保が、ここぞという場面で大仕事をやってのけたのである。
 
 一見計算し尽くされたような一撃だが、久保に言わせれば「なんも予測とかはしていなかった」。「ただこぼれてきたボールが自分のところにきた感じ」だった。
 
 意識したのは「コンパクトな振り」。それが、あのスーパーゴールに繋がったのだ。ボールをインパクトした瞬間も「あまり覚えていない」久保にしてみれば、本能で奪ったゴールとも言えるだろうか。事実、「下にあるボールは別として、ああいう浮いたボールをシュートする時は直感みたいなものに従う」と本人もコメントしていた。
 
 結果的に84分のゴールが決勝弾になり、久保は勝利の立役者となった。嬉しかったのは、チームメイトみんなに褒められたことだ。これまでは誰かを褒める側だったので、それが逆になって「嬉しいです、かなり」と話していたのが印象的だった。
 
 試合後、自分のゴールを映像で何度も見たそうだ。それだけ嬉しかったということだろう。しかし、もちろん、これで満足しているわけではない。ようやく今季のJ1初ゴールを決めてホッとしているかと思いきや、「次の試合で結果を出さないと」とすでに視線は次の試合に向いていた。
 
 ただ、エグすぎるシュートでFC東京に勝点3をもたらした働きは称賛されるべきものだ。確かな技術と勝負度胸がなければ、あそこでゴールなんて奪えない。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
 
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