「クラブ内部に問題があった」リーグ優勝決定も、6年ぶりに国内カップ無冠。パリSGがシーズン終盤に失速した理由は?

2019年05月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

事情通の記者がクラブ体制に警鐘

ユナイテッドに敗れCL敗退が決まったのち、倒れ込んだキンペンベを助け起こそうとするマルキーニョスとエディンソン・カバーニ。落胆の色は隠せなかった。 (C) Getty Images

 チャンピオンズ・リーグ(CL)での議論を呼んだビデオ判定がなければ、パリ・サンジェルマンが悪夢のようなシーズン終盤を過ごすことはなかったのだろうか。

 マンチェスター・ユナイテッドとのCLラウンド・オブ・16で逆転敗退を余儀なくされたパリSGは、首位で独走していたリーグ・アンで優勝こそ遂げたが、直近の公式戦7試合でわずかに1勝しかあげていない。

 レンヌとのクープ・ドゥ・フランス決勝では、2点を先行しながら追いつかれ、PK戦の末に5連覇を逃した。パリSGはクープ・ドゥ・ラ・リーグでもベスト8敗退に終わっている。国内の2つのカップ戦でどちらもトロフィーを手にできなかったのは、6年ぶりだ。

 なぜ、パリSGは失速したのか。米最大のスポーツネットワークチャンネル『ESPN』を通じて「シーズンを通じて内部に問題があった」と主張したのが、フランスサッカーに精通するジュリアン・ローラン記者だ。

 同記者は、2011年にカタール資本(カタール・スポーツ・インベストメント=QSI)になって以降、「本物の戦略や構造が無かった」と指摘。資金にものを言わせれば勝てるという姿勢や、上層部に規律がないことが問題と綴った。

 その具体例として、ローラン記者は「練習やミーティングでの遅刻が日常茶飯事との声がある」と報じた。実際に、リーグ・アン第11節のマルセイユ戦ではキリアン・エムバペやアドリアン・ラビオが遅刻して先発落ちしている。

 また、"多国籍軍"のパリSGでは、南米組とフランス組、そしてそれ以外の欧州組と、ロッカールームが3つに分裂しているという。さらに、一部若手への不満もあるとし、ローラン記者はアルフォンス・アレオラとプレスネル・キンペンベの名前をあげた。

 例えば、「アレオラはユナイテッドとのCL第2レグで先発予定だったにもかかわらず、試合前のミーティングに遅刻して先発落ちした」と言われる。代わって出場したGKジャンルイジ・ブッフォンが致命的なミスを犯してパリSGは敗退することになったが、クラブからアレオラに処分はなかった。

 ほかにも、ローレン記者は、「エムバペが素晴らしい数字を残している」としたうえで、ユナイテッドとの2試合やレンヌ戦などの大舞台でミスがあったと指摘。リーグ戦で2回退場処分となっており、その姿勢が「完璧からは程遠い」と記している。

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