【元マドリー指揮官の視点】グアルディオラ+ブスケッツ、次代を担うモダンなMFの代表格とは?

2019年05月07日 エル・パイス紙

運動量やスピードでMFの優劣を測るのは誤り

ブスケッツ(左)の後継者とも評されるロドリ。マンCのグアルディオラ監督がご執心とも。(C)Getty Images

 ミッドフィルダーはチームの心臓部を司る。彼らは一切のエゴなしに常にフォア・ザ・チームの精神を持ってプレーしなければならない。

 必要なのは、ポゼッションを意識してボールを繋ぐ組み立ての能力と、チームメイトの特性と周囲の状況を把握した上で攻守を連動させる高度な判断力だ。従って、中盤の選手に対して運動量やスピードといった表面的なファクターによる物差しのみで優劣を測るは誤っている。
 
 ジョゼップ・グアルディオラは鈍重で怪我も多かった。フェルナンド・レドンドは、スピードの不足をオールのように腕を巧みに使って相手の動きを封じることでカバーしていた。シャビ・アロンソは、あるクラブの幹部が指摘したように「尻が重い」選手であった。セルヒオ・ブスケッツもスピードとは無縁の選手だ。

 しかしいずれも、長短織り交ぜたパスを配給して攻撃をオーガナイズし、相手のパスコースを読んでピンチの芽を摘むことに欠けては右に出る者のいない超一流のエキスパートだった。

 驚くのは、近年台頭した若手MFたちは、そうした数年前まで特別と思われていた能力を当たり前のように受け継いでいるという事実だ。

 その代表格と言えるのが、アトレティコ・マドリーのロドリ。彼こそが前述した偉大な先達たちの長所を満遍なく併せ持った、次代を担うモダンなMFだ。

文●ホルヘ・バルダーノ
翻訳:下村正幸

【著者プロフィール】
ホルヘ・バルダーノ/1955年10月4日、アルゼンチンのロス・パレハス生まれ。現役時代はストライカーとして活躍し、73年にニューウェルズでプロデビューを飾ると、75年にアラベスへ移籍。79~84年までプレーしたサラゴサでの活躍が認められ、84年にはレアル・マドリーへ入団。87年に現役を引退するまでプレーし、ラ・リーガ制覇とUEFAカップ優勝を2度ずつ成し遂げた。75年にデビューを飾ったアルゼンチン代表では、2度のW杯(82年と86年)に出場し、86年のメキシコ大会では優勝に貢献。現役引退後は、テネリフェ、マドリー、バレンシアの監督を歴任。その後はマドリーのSDや副会長を務めた。現在は、『エル・パイス』紙でコラムを執筆しているほか、解説者としても人気を博している。

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙に掲載されたバルダーノ氏のコラムを翻訳配信しています。
 
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