【名古屋】ようやく得た先発のチャンスに猛アピール。前田直輝が立った新たなスタートライン

2019年04月29日 本田健介(サッカーダイジェスト)

スタメン起用にゴールで応える

右サイドを突破する前田。キレのある動きを見せた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ9節]名古屋1-0広島/4月28日/豊田ス
 
 あれは日本代表がキリンチャレンジカップでボリビアに1-0で勝った翌日、3月27日のことだった。ゲームでは中島翔哉が決勝ゴールを挙げ、安西幸輝、畠中槙之輔、小林祐希らが先発。東京Vユース出身の選手たちの存在感が光ったが、同じ東京Vの下部組織育ちの前田直輝は刺激を受けたのか、そんな質問をしてみたことがあった。
 
 ただ当時はなかなかリーグ戦に絡めず、前田にとっては難しい時期でもあった。だからだろう「今は他の人のことを気にしている余裕がありません。自分のことを考えるので精一杯ですし、自分のやるべきことをやるだけです」とやや目を伏せながら口にしていた。
 
 昨季は夏に松本から名古屋に加入すると18試合・7得点の活躍で、チームのJ1残留の原動力となった。しかし新シーズンは、開幕戦こそスタメンを飾ったが、その後は主にルヴァンカップでの出場が続き、リーグ戦ではなかなかチャンスが回ってこなかった。
 
 それでも広島をホームに迎えた9節、ガブリエル・シャビエルの負傷を受けてリーグ戦では8試合ぶりのスタメンを掴んだ。ようやく巡って来たアピールの場。するとこれまでの鬱憤を晴らすかのように、前田は生き生きとしたプレーを見せた。
 
「久々のリーグ戦でこんなにパスって早かったっけと戸惑いました」と冗談を口にしながら「一回、佐々木(翔)選手を抜いたあたりからリセットできたというか、良い意味でターンやドリブルの使い分けができるようになったと思います」とキレのある動きで、広島守備陣を翻弄。そして37分に4万の観衆が詰めかけたスタジアムに歓喜をもたらした。
 
 長谷川アーリアジャスールのスルーパスからジョーが右サイドを抜け出すと、「(和泉)竜司くんが触れなかったら俺が詰めるという想いで中に入りました」と中央でクロスに合わせようと試みた和泉の背後に走り込むと、抜けてきたボールを「キーパーが最後は寝てくるなとは予想していましたし、DFはスライディングをしてくるだろうなと考えていました」とチップキックでタイミングを外しながらゴールへ押し込んだのだ。
 

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