アルゼンチン戦から診断 ドゥンガ再任でブラジル代表はどう生まれ変わったのか?

2014年10月12日 平安山良太

質実剛健で、堅守からショートカウンターを狙う。

ドゥンガ監督を迎えて再スタートを切ったブラジル。このアルゼンチン戦ではどんな姿を見せたのか。 (C) Getty Images

 自国開催のワールドカップで歴史的大敗を喫したブラジル代表は、4年ぶりに再任したドゥンガ監督の下、どう生まれ変わったのか。
 
 10月14日にシンガポールで日本が対戦する新生セレソンを、直近のアルゼンチン戦(2-0)から診断した。
 
スタメンの顔ぶれとシステムは?
 
 ブラジルが用いたシステムは4-2-3-1。
 GKはジェフェルソン(ボタフォゴ)で、最終ラインは左からフィリペ・ルイス(チェルシー)、ダビド・ルイス(パリSG)、ミランダ(アトレティコ・マドリー)、ダニーロ(ポルト)。
 中盤はエリアス(コリンチャンス)とルイス・グスタボ(ヴォルフスブルク)がダブルボランチを組み、2列目は左からネイマール(バルセロナ)、オスカール(チェルシー)、ウィリアン(チェルシー)。
 1トップはジエゴ・タルデッリ(アトレチコ・ミネイロ)が務めた。
 
戦い方の志向は?
 
 ドゥンガ監督が率いた2010年の南アフリカ・ワールドカップのセレソンと同様、質実剛健で、堅い守備からのショートカウンターを狙っていた。実際、高い位置からFWがパスコースを制限しながら詰め寄り、中盤でボールを奪って効率的にゴールを陥れようという思惑が見て取れた。
 
 タルデッリが裏を狙い、アルゼンチンがそれに対応してディフェンスラインを下げれば、その前の空いたスペースをウィリアンやネイマールがドリブルで持ち上がる。
 速攻が難しい場合や、試合の流れによってはポゼッションに切り替える柔軟な対応も見せていた。
 
志向する戦い方はどの程度実践できていたか?
 
 立ち上がりは、どこでボールを奪おうとしているか、その意図は読めるものの、FWと中盤の連係がいまひとつで、むしろFWと中盤の間にスペースを与えてしまい、アルゼンチンの高速アタッカー陣に簡単に前を向かせて危険な場面を招いていた。
 
 試合が進むにつれて徐々にFWの守備が修正され、「勝手にプレス」状態から少し後ろにウエイトし、チームの連係も向上。試合運びも良くなった。
 
 前半20分あたりまでは40パーセント程度だったボール支配率が、最終的に61パーセントまで上がった事実は、効率的にボールを奪えるようになったこと、展開に応じて柔軟にポゼッションへの切り替えができていたことを裏付ける。
 
 ただ、ワールドカップ後のこのタイミングでは世界中のチームがそうであるように、ブラジルもまだまだ発展途上と言えるだろう。

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