清武や柿谷は“自由”を失った…セレッソの深刻なゴール欠乏症はいつまで続くのか

2019年04月28日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

直近の3試合は無得点で終わっている

司令塔の清武もここまでパッとしない。新戦術に少なからず戸惑いが窺える。写真:徳原隆元

[J1リーグ9節]C大阪0-0大分/4月27日/ヤンマースタジアム長居
 
 今季ロティーナ監督を招聘したセレッソ大阪が、深刻な得点力不足に悩まされている。

 新たにチームを率いているスペインの智将は、ストライカーとして鳴らした現役時代とは一転して、緻密かつ堅実な戦術を身上とする。
 
 9節の大分トリニータ戦では、いかに相手のストロングポイントを消すかを優先した。敵将の片野坂知宏監督は、「毎回、ロティーナさんとの戦いは非常に難しいゲームになる。こういう拮抗した試合になることも予想していたのだが、やはりこじ開けることができなかった」とスコアレスドローに終わったゲームを振り返っている。
 
 ロティーナ監督自身も、守備戦術の落とし込みには一定の手応えを掴んでいるようだ。「守備では全員が役割を果たして、相手にほとんどチャンスを与えていません。負けた試合も、相手に少ないチャンスを決められたものです。その部分では、良い仕事ができていると思っています」と語っている。
 
 ところが、攻撃面は明らかな課題だ。リーグ戦では6節の川崎戦から4試合白星がなく、中でも直近の3試合は無得点で終わっている。
 
 昨季12得点の長身ストライカー都倉賢、日本を代表する司令塔の清武弘嗣、国内最高峰の技術力を誇る柿谷曜一朗らを擁しながら、リーグ10試合を終えて5得点。最下位の鳥栖に次ぐリーグで2番目に少ない数字だ。
 
 さらに大分戦では柿谷に代えて、スピードとパンチのあるシュートに定評のある高木俊幸を先発で起用したが、それでも改善のきっかけは掴めなかった。
 
 攻撃の糸口をほとんど見出せなかった大分戦を終えて、指揮官は以下のように言う。
 
「チャンスの数にも得点の数にも満足していません。そこが一番の心配事です。守備について、これ以上求めることは少ないですが、攻撃の部分を改善していく必要がある。その問題はチームにとって重大で、今までやってきたこと以上に、個人に対してもより強く要求していきたい。また選手を代えたり、プレーの仕方で変化を加えたり、そういうことが必要だと思っています」

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