幼少期を知る元レアル下部組織指揮官の証言。中井卓大の魅力と渡欧6年間での進化

2019年04月22日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

”ピピ”の愛称で親しまれる中井卓大をかつての指揮官はどう見ている?

スペインで着実にキャリアを積み上げてきた中井。今後はさらに競争が厳しくなるが、壁をどのように越えていくのだろうか。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 10歳でスペインに渡り、早6年。高校1年目を迎えた中井卓大が4月19日から21日まで行なわれたキリンレモンカップにレアル・マドリーの一員として参戦し、チームの準優勝に貢献した。
 
 チームでは4-3-3のインサイドハーフを担当。持ち前の技巧と創造性豊かなプレーで主軸を任されている。
 
 滋賀県で生を受けた中井はMF望月嶺臣(京都)などを輩出したアズー滋賀FCで小学校時代を過ごした。地元では天才サッカー少年として知られており、渡欧前にはテレビにも登場。早くからその才能に熱視線が注がれていた。
 
 そんな中井に転機が訪れたのは2012年の夏。レアル・マドリーが日本で初めて開催したショートキャンプ(ファンデーションキャンププログラム)に参加する。そこで首脳陣から高い評価を得ると、数回の入団テストなどを経て、小学校4年生となった翌年秋に晴れてカンテラーノとなったのだ。
 
 そこから順調に力を付け、現在はカデーテA(U-16チーム)に所属。レアル・マドリーのホーム、サンチャゴ・ベルナベウでプレーすべく、日々技を磨いている。
 
 では、異国の地でどれほど成長を遂げたのか。大会初日にスペインで中井を指導した経験を持つ、ホセ・ララ氏(現・千葉のアカデミーダイレクター)に話を伺った。
 
 ホセ氏が初めて中井と出会ったのは今から6年前。渡欧して一番最初に籍を置いたU-10チームだ。当時、その精鋭部隊で指揮官を務めており、"ピピ"とは約1年半、監督と選手の間柄で過ごした。
 
 まず、中井のプレーを初めて見て、目を丸くしたという。
 
「スペイン人と比べても、テクニックが高いことに驚きました。スペイン語がそんなに分かっていない時だったのですが、トレーニングに対する理解度も優れていた」
 
 日本を離れて間もないため、スペイン語はまるで理解できない――。そうした厳しい環境下であっても、ひと際目立つ技術。それを可能にした理由について、ホセ氏はこう語る。
 
「仲間との関係性が良かった。彼らもピピ君を助け、クラブもコーチも彼の活動に対して手を差し伸べました。彼は良い人間性を持っているなかで、クラブも彼を成長させようと支えてきました」

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