【横浜】最多得点の名古屋も大いに困惑!? 懐の深さを示した“守備の駆け引き”

2019年04月14日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

対戦相手や状況に応じて柔軟に対応し、修正を施す

攻撃重視の横浜だが、名古屋戦は守備のリスク管理を徹底。アンカーの喜田(中央)は優れた危機察知能力でピンチを未然に潰した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第7節]横浜1-1名古屋/4月13日/日産ス
 
 失点はPKによる1点のみ。決定的なピンチもあったが、GK朴一圭のファインセーブもあり、追加点を許さなかった。
 
 ホームに迎えた名古屋は、リーグトップの得点力(14点/6節終了時)を誇るチームだ。そんな難敵に対し、攻撃的なサッカーを標榜する横浜が流れの中からゴールを割らせなかった点は評価したい。
 
 前半の途中には、プレーが途切れたタイミングで、アンカーの喜田拓也がタッチライン際でスタッフたちと話し合う姿があった。
 
「ビルドアップのポジショニングと、あとはリスク管理のところですね。(名古屋の攻撃陣は)けっこう攻め残っていたので。2トップに加えて、両サイドハーフも戻らない時があった。そうなると、人数が足りなくなる場面もあったので、そこで誰を下げるかを確認していました」
 
 名古屋からすれば、2トップと両サイドハーフの計4人が攻め残れば、必然的に自分たちの守備が手薄になる。横浜にとっては人数をかけて押し込むチャンスでもあるが、そこで不用意なボールロストがあれば、一気に形成は不利になる。
 
 仕掛けると同時に、守備の準備をする。「押し込んだ時に、引っ掛けられて、(攻め残っている選手に)スパーンとつけられたら、もう数的不利になる」(喜田)。そんなシチュエーションも想定しながら、横浜は中盤の攻防で人員をしっかりと確保し、名古屋の攻撃力を低減させるように努めた。
 
 名古屋戦は1-1と勝ち切れなかった。序盤にビハインドを背負うも、前半のうちにマルコス・ジュニオールのゴールで追いつき、後半は攻勢を強めていくつかの決定機を作れていただけに、悔しい結果だったと言える。ただ、リーグ屈指の攻撃力を持つ相手に対し、"守備の駆け引き"で隙を見せず、手堅く戦い抜いて敗戦は免れた。
 
『アタッキング・フットボール』というスタイルはブレていないが、対戦相手や状況に応じて柔軟に対応し、修正を施す――勝点1しか得られなかったとはいえ、懐の深い戦いぶりだった。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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