「エスタディオ・フェルナンド・トーレス」そこは“神の子”の地元愛が宿るスタジアムだった

2019年04月12日 佐々木裕介

スペイン3部の街クラブにそのスタジアムはあった

写真右が「エスタディオ・フェルナンド・トーレス」。CFフエンラブラダ(スペイン3部)のホームスタジアムだ。写真:徳原隆元/佐々木裕介

 フェルナンド・トーレス。彼が幼少期から過ごしたアトレティコ・マドリー(以下、A・マドリー)では今もなお、クラブの生ける伝説としてファンから愛され続けている存在だ。
 
 昨年5月、エイバルとのリーグ最終戦、日本へ旅立つ彼の退団セレモニーが行なわれた。
 
『DE NINO A LEYENDA(神の子から伝説へ)』
 
 ファンの想いが集約され掲げられたこのメッセージと場内の雰囲気に、鳥肌が立ったことをいまでも忘れない。ラス・ロヒブランコ(A・マドリーの愛称/赤と白の意)を愛する者は、アジア王者の鹿島アントラーズは知らずとも"サガン鳥栖"は周知しているのだ。
 
 そんな彼の名がスタジアムにも冠されている。「えっ?アトレティコのホームスタジアムのネーミングライツは、中国企業が取得していたような……」と鋭いツッコミが入るだろうが、もちろんそれは彼らのホーム"エスタディオ・メトロポリターノ"の話ではない。同じマドリードに本拠を構える別のクラブでの話なのである。
 
『エスタディオ・フェルナンド・トーレス』
 
 マドリードの中心地から南西へ直線距離で20キロ。今季もプリメーラ(1部リーグ)に所属するレガネスやヘタフェとも程近い、フエンラブラダの街クラブ「クラブ・デ・フットボール・フエンラブラダ(以下、CFフエンラブラダ)」のホームスタジアムの名称だ。
 
 しかし、その事実を知った時、なぜセグンダB(3部リーグ)に属するクラブのスタジアムに彼の名前が?と純粋に興味が湧いた。さっそくクラブへ連絡を取ってみると、取材を受けてくれるという。寄らせてもらえるならば試合日にと日程を確認してみると、レオネサ(井手口陽介が昨季所属していたカタール資本のクラブ)との首位攻防戦があることを知り、日取りを即決した。
 

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