【セルジオ越後】主力を呼べないコパ・アメリカ…なぜ前もって対策を練らなかったの?

2019年04月09日 サッカーダイジェスト編集部

クラブの都合を優先し、選手の貴重な成長の場を奪ってしまっては…

コパ・アメリカのメンバー招集に制約が設けられた。森保監督にとっても悩ましい課題だ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 日本代表が6月に開催されるコパ・アメリカにベストメンバーを連れていけない可能性が出てきた。
 
 FIFAの規定では大陸内での選手権には1年で1大会でしか拘束力を行使できないらしい。つまり日本代表は今年1月にすでにアジアカップに参加しているから、そこに呼んだ選手には、コパ・アメリカに招集する強制力が働かないということだ。
 
 国内選手の招集についても、コパ・アメリカが開催される期間はJリーグの真っ只中だから、代表メンバーの招集には、『1チームひとりまで』という制約がつくようだね。もちろん戦力が引き抜かれるクラブ側からすれば、反発が出るのは当然だ。
 
 しかしJリーグはそもそも、その理念において日本代表チームを強化するために作られたもの。それを見失っているのではないかな。せっかくの代表チームの強化の場に、選手を出せないようなら、Jリーグの意義はどこにあるのだろう。クラブの都合を優先して、選手の貴重な成長の場を奪ってしまっては、それこそ本末転倒だ。村井チェアマンはこれをどう考えているのか気になるよ。
 
 FIFAの規定は今に決まったことではないから、こういった招集の問題が出てくるのは分かっていたはずだよ。だからこそ不思議なのは、なぜ前もって対策を練っておかなかったのかだ。もう大会2か月前だよ。昨年の5月にはコパ・アメリカへの出場が決まっていたのに、今になってチーム編成が変わってしまうこと自体がおかしいんだ。
 
 日本サッカーとJリーグで話し合う時間はたくさんあったはずだし、日程を調整するのか、制約を設けないようにするのか、そういった議論はいくらでもできたはずだ。日本サッカー協会とJリーグはいつ、ひとつにまとまるのだろうか。今回の一件で、改めてふたつの組織がうまく連係できていないことが露呈されてしまったんだ。

 昨年のロシア・ワールドカップの前には「コミュニケーション不足」だといってハリルホジッチ監督を解任したけど、コミュニケーションが取れていないのは、日本サッカー協会、そしてJリーグだって同じではないかな。

次ページ日本サッカー協会とJリーグへの“宿題”

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事