公立の雄・大津に逸材1年生が現わる!帝京出身の名将・平岡総監督が自身の後継者に指名したワケ

2019年04月07日 森田将義

プレミアリーグ開幕戦に入学式前ながら先発。初ゴールも奪取!

最大の武器はボールキープ。1年生ながら、平岡総監督が認めるほどの実力だ。写真:森田将義

 公立高校ながら、これまで50人近いJリーガーを輩出してきた熊本の大津にまた新たなブレイク候補生が現われた。
 
 G大阪ユースとの開幕戦。2年ぶりのプレミアリーグ復帰となったチームで、唯一のゴールを奪ったMF森田大智(1年)だ。
 
 週明けに入学式を控えているため、厳密に言えばまだ高校生とは言えない。165センチの身長もあどけなさが残る表情も相まって、上級生の中に混じるとまだ違和感が残る。
 
 ただ、ひとたびボールを持てば入学前から出番を得ている理由が分かるだろう。現役時代、小柄なテクニシャンとして帝京を選手権優勝に導いた平岡和徳総監督が「僕の後継者として育てたい」と話すほどのセンスを持っているMFなのだ。
 
 4-4-2の右サイドハーフに入ったこの日は、中学までとは比べ物にならないプレッシャーの速さに苦しみミスも多かった。だが、常に拘ってきたというテクニックは先輩たちに引けを取らない。

「皆が年上で自分より大きく、スピードがあるので、自分のできることを精一杯やろうと思っていた」との意気込み通りのプレーを試合開始から披露し、相手背後に効果的なパスを配給し続けた。
 
 何より目を惹いたのは、先輩のMF樋口堅大(3年)が「一番の特徴はボールを持てること。どんな時でもちょこちょこボールを捌いてくれるので、やりやすい」と評する巧みなボールキープだ。
 
 平岡総監督が自身の現役時代と姿を重ねるのも小柄な体格を活かしたプレーの部分で、「大事な所でボールを隠せるから、大きな選手が奪えない。捕まえようとしたら、間をスルスル抜いたり、股の間を抜ける。そういう頭もあるので、生きる道を教えてあげたい」と口にする。
 
 前評判に違わないテクニカルなプレーで、チャンスを演出する森田に最大の見せ場が訪れたのは、56分だった。
 
 樋口が放った左クロスのこぼれ球に一早く反応する。
 
「監督から、反対サイドからのクロスは誰も見ていないから中に入っていけと言われていたので、飛び込んだらちょうど良いボールが来た」
 
 冷静にダイレクトで押し込み、先制点をマーク。後半アディショナルタイムに失点し、チームは勝利を逃したが、期待のルーキーが見せた輝きはインパクト十分だった。

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