『浦和のバンディエラ』山田暢久氏が指揮官に! 7部チームを率いる新米監督が悪戦苦闘の日々

2019年04月04日 河野正

今年1月に監督就任。「想像以上に監督業は難しい」

現役時代は浦和一筋を貫いた“バンディエラ”山田暢久が神奈川県1部のイトゥアーノFC横浜で監督に転身。写真:サッカーダイジェスト

 Jリーグ浦和レッズで活躍した山田暢久氏(43)が、今季神奈川県社会人リーグ1部に昇格したイトゥアーノFC横浜の指導を始めて2か月あまりが経過した。スター選手だった1年生監督は、J1から数えて実質7部となるチームを率いて、来季の関東社会人リーグ昇格という目標に向け、手探りの状態でチーム強化に粉骨砕身している。その第一歩となる県リーグ開幕が7日に迫ってきた。
 
 チーム練習は週2日で、平日は相模原市内の中学校で夜7時半から始まる。山田監督は作戦ボードに練習メニューを書き込んだ後、今度はパイロンをグラウンドのあちこちに配置。ウォーミングアップを終えた選手を集めて指示を伝えると、フォーメーション練習を開始した。「運べ運べ」「そこを空けちゃ駄目でしょ」「もっと前から」。新米監督ながら、サッカーを知り尽くした男の的確な声が校庭に響き渡る。
 
 イトゥアーノFC横浜は、昨季の県社会人リーグ2部Bブロックを11勝1分け1敗で制し、初の1部昇格を達成。前身は2011年創設のFC横浜アズールで、将来のJリーグ参入をにらんで昨年3月、サッカー教室などを幅広く展開するNPO法人セイントフットサッカークラブに運営母体を委譲。ブラジル1部のイトゥアーノFCと業務提携する関係から、チーム名も変更した。
 
 同クラブが埼玉県川越市で運営する教室に山田氏が1月から携わったことが監督就任のきっかけとなる。
「チームや県リーグのレベルが分からず不安もあったが、誘ってもらったことに感謝して引き受けました。でも想像以上に監督業は難しい。理由? 一番は選手が足りないこと」
 
 チームを編成する9割が大学生で、快進撃を演じた昨季の主力は就職活動などで大半が退団。GKはひとりもいなくなった。練習にメンバーが勢揃いすることはまずなく、紅白戦を組めない状況だという。
 
 頭痛の種がもうひとつあり、指揮官は「僕とクラブは来季の関東リーグ入りを目指していますが、彼らの気持ちはそこにはないのかな。少し温度差を感じるので、認識を共有しないといけない」と選手をその気にさせることも緊急課題だそうだ。
 
 ただ、クラブの佐藤伸治スーパーバイザーの見解は異なり「必死に取り組む姿勢が伝わり、明らかに変わった。山田監督が来てから、サッカーをやっているなと強く感じます」と短期間での変化に驚いている。
 

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