“元バルサ”も苦労したガンバのハイプレスには、思わぬ盲点があった

2019年04月01日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

ダブルボランチを軸に、”元バルサ”の中盤をハイプレスで封じた。

ボランチで先発した倉田は、神戸戦で最も走っていた。チームの3点目も決めている。写真:山崎 賢人(サッカーダイジェスト写真部)

「ハイプレスがきて、そこからどう抜け出せばいいのか、上手く見出せない時間帯もありました」
 
 ヴィッセル神戸のセルジ・サンペールは、ガンバ大阪の守備をこう評価した。決してリップサービスではないだろう。実際、ハイプレスに怯んでやむを得ずバックパスを選んだ回数は多く、"元バルサ"らしい効果的なパス捌きを見せたとは言い難い。神戸加入後初スタメンを飾ったスペイン人MFの苦戦は、フアン・マヌエル・リージョ監督も同情した。
 
「サンペールは普段ならインサイド(ハーフ)にボールをつけることができますけど、今日はできなかった。ガンバ大阪が(プレッシングによる)ボール奪取とその後の展開も狙っていたからです。サンペールは良かったですが、ガンバ大阪を評価しないといけないです。先発としてのデビューと考えたら、違う日のほうが良かったと思う」
 
 敵将も称えるガンバのハイプレスは、前半までサンペールのみならずアンドレス・イニエスタも封じていたと言える。24分、菅沼駿哉がイニエスタに入った縦パスをインターセプトし、スルーパスでファン・ウィジョのゴールをアシストした2点目の場面は、チーム全体が連動したプレッシングの象徴だった。

 そのディフェンスを体現するうえで、肝になっていたのは倉田秋と高宇洋のダブルボランチだろう。倉田が相手の中盤への果敢なチェイシングでボール奪取にかかり、そのまま攻撃参加して縦への推進力をもたらす。その間、高は首を振って横を注視しながら幅広く動き、中盤のバランスを保っていた。
 
 倉田が「相手のパスミスを狙って、そのまま(攻撃に)つなげる狙い通りの2点が取れた」と言えば、高は「秋くんを前に出させて、自分がリスク管理をする。プレスバックもして、イニエスタのところも潰し切れているので、ほとんどやらせなかったのは良かった」と述べる。
 
 絶妙な補完性があるこのボランチコンビは、電光石火のショートカウンターを完遂させるキーマンになっていた。1-0で勝利した前節の川崎戦から続く好パフォーマンスと、"前半までは"思わせる出来だった。
 

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