パス成功率もボール支配率も最下位…それでもヘタフェが大躍進を見せている理由とは?なぜ柴崎岳は起用されないのか

2019年03月30日 サッカーダイジェストWeb編集部

お世辞にも魅力的なスタイルとは言えないが…

ここまで4位と快進撃を見せているヘタフェ。全員がハードワークをし、泥臭く勝点を積み重ねている。(C)Getty Images

 首位バルセロナを含めて、いわゆる3強が苦戦を強いられている今シーズンのラ・リーガで、「ベストチーム」と言っても過言ではない大躍進を見せているのがヘタフェだ。

 残留が最大の目標のチームが、28節を終了した時点で、勝点46(12勝10分け6敗)を獲得し、3強に次ぐ堂々の4位。チャンピオンズ・リーグ(CL)出場圏内に入っているのだ。

 ただ、スタッツを見ると、ボール支配率はリーグワーストの42.5パーセントで、パス成功率も最下位の64.1パーセント。19位のアラベスが71.0パーセントだから、どれだけ低いかが分かるだろう。

 そんなチームがなぜCL出場権争いを繰り広げているのか。その最大の要因は、ホセ・ボルダラス監督が築き上げた堅守だ。ここまで失点は、アトレティコ・マドリー(19点)、バレンシア(23点)に次ぐリーグ3位の24失点。ソリッドな4-4-2システムを敷き、全員がハードワークを厭わず、果敢にボールを奪いに行くのが特徴だ。

 その結果、ファウルが多くなり、1試合平均のそれは17.3回で断トツ(2位のウエスカが15.4回)。その点を、「美しく勝つサッカー」が信条のベティスのキケ・セティエン監督から批判されるなど、お世辞にも魅力的なスタイルとは言えないものの、泥臭く勝点を積み重ねている。

 2トップが好調なのも心強い。36歳のホルヘ・モリーナが10ゴール、30歳のハイメ・マタが13ゴールを奪取し、ふたりでチーム総得点(32点)の64パーセントを叩き出している。とりわけ後者は、1部初挑戦ながら年明けから得点を量産し、この3月にスペイン代表デビューを果たすなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。
 
 この好調のチームにあって、ひとり取り残されている感があるのが柴崎岳だ。昨年12月15日に行なわれた第16節のレアル・ソシエダ戦以来出番がなく、ここまでリーグ戦の出場はわずか3試合。アジアカップもあったとはいえ、年明け以降、ベンチ入りを果たしたのは一度だけだ。

 まず守備力を重視するボルダラス監督は、ダブルボランチに、ネマニャ・マクシモビッチとマウロ・アランバリという"武闘派"を重用。日本代表MFは「構想外」のような扱いだ。

 パスセンスは間違いなくチーム一、二を争い、タメも作れる柴崎は、少なくともベンチに置いておけば有効なカードとなりそうだが……。

 13節以降は、バルサとアトレティコに敗れた以外は9勝6分けのヘタフェ。この好調が続く限り、柴崎にとって厳しい状況が続きそうだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
 
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