【横浜】まさかのレギュラー落ちのGK飯倉大樹が、ハーフタイムにとった行動とは?

2019年03月30日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

ロングボールを使っていた畠中に助言

後半が始まる直前に、飯倉は畠中(44番)に「あれでいいと思うよ」とアドバイスを送っていた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第5節]横浜0-0鳥栖/3月29日/日産スタジアム
 
 過去2シーズン、J1の全34試合でフル出場。今季も開幕から正GKの座を確保していた"絶対的守護神"の飯倉大樹が、5節の鳥栖戦ではベンチスタートだった。
 
 怪我でもなんでもない。シンプルに、今季の新戦力である朴一圭にポジションを奪われた。それが現実だった。
 
「まあ、まあ、いろいろあるし。プロだから。こうなってしまったのは仕方ないから」
 
 その胸の内は分からない。ただ、飯倉はこちらの問いかけにもしっかりと応じてくれる。
 
「なんだろうな……チームが勝つためにやるというか。選手はみんな頑張っているから。試合どうですかって聞かれたらちゃんと答えられるように。陰ながらサポートしてあげられればいいかなと思っていた」
 
 ハーフタイムが終わり、後半が始まる直前、ピッチに戻ってくる選手たちとハイタッチする。CBの畠中槙之輔には、飯倉自らが熱心に話しかける姿があった。
 
「槙もね、ロングボールを使っていて、あれは後半も使ったほうがいいと思っていて。スペースも空いてきていたし。ショートパスにこだわる必要はないかな、と。ワンタッチ、ツータッチで行けるところは行けるけど、今日の槙にはプレスがかけられていたし、出すところがなかったから。『あれ(ロングボール)でいいと思うよ』って。『浮き球、使っていいよ』って話はした」
 
 ベンチに控えていても、チームが勝つために何をすべきか、ポゼッション重視の今のサッカーがさらにレベルアップするにはどうすればいいかを考えていた。
 
「やっぱり、相手は対策してくる。正直、今はまだAプランしかないから。Bプラン、Cプランを作らないと、勝利には届かない。今日は勝ちそうだったけどね。でも、今後もっと手強い相手とやれば、またハメられるだろうし、Aプランだけでは試合巧者にはなれないと思う。だから槙には自分の考えを伝えて、そうやってサポートして」
 
 苦しい状況に置かれた時こそ、その人間の本質が見えてくるものだ。取材エリアで話を聞いた時は"1対1"だった。愚痴のひとつでもこぼすかと思ったが、そんなセリフは一言も吐かなかった。おそらくはこちらを気遣ってのことだろう、「俺はのんびりしてね」とジョークも飛ばす。
 
 試合前のシュート練習で、ゴールマウスに立つ飯倉は、チームメイトのテンションを上げるかのように、"今のいいんじゃない"といったような笑顔も見せていた。
 
 悔しさを押し殺してでも、チームのために自分ができることをやる。無論、セカンドGKの立場を甘んじて受け入れるつもりはないだろうし、このまま引き下がるような男でもない。鳥栖戦は0-0のスコアレスドローで勝ち切れなかったが、リーグ戦で今季初の無失点を達成。その試合でピッチに立っていた朴は間違いなく強力なライバルだ。たったひとつしかないポジションを巡る熾烈な争いに、その身を投じる飯倉は今まさに、プロのアスリートとして、心から横浜が強くなることを願うチームの一員として、その真価が問われている。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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