【英国人記者の目】昨夏までヨーロッパで忘れ去られていたJリーグ。追い風の今がチャンスだ!

2019年03月29日 スティーブ・マッケンジー

Jリーガーもファンも現状に満足したら向上はない

世界的なビッグネームたちが神戸でプレーしている。その事実は実に喜ばしいことだ。 写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 昨夏、ロシア・ワールドカップで成功した日本代表は、世界中のフットボールファンから注目された。Jリーグ出身の選手が大舞台で活躍してコロンビアを破り、ベルギーと好試合を展開した。いったい彼らの母国リーグは普段はどんなパフォーマンスをしているのだろうと、好奇心をくすぐられたファンが多いからだ。

 ロシアW杯まで、欧州ではJリーグは忘れ去られていた。同じアジアでも、数年前から、欧州からアジアに渡る選手たちは大半が中国や中東へ向かっている。そのためJリーグの人気はどんどん衰え、興味を持つ人も少なかった。

 それに、イングランドでは、私たちがJリーグを観るすべはない。なんということだ、そう、私は日常的にJリーグを観ることができない! だから、去年の11月に日本を訪れた際、ヴィッセル神戸とサガン鳥栖の対戦を観られたことは、この上もなく幸運なことだったと自負している。

 正直な話をすると、試合を見るまで私はJリーグの人気が3~4年前から停滞しているような印象を受けていて、ガランとしたスタジアムに行くのではないかと憂慮していた。だがスタジアムを訪れ、その不安は杞憂だったと知った。ファンは大勢訪れていたし、決して人気は衰えていなかったことが分かったからだ。

 けれど、試合を見て失望もした。久しぶりに見たJリーグのプレーのクオリティーが、進化していたとは言い難かったからだ。そして、もっと心配になったことは、その"素晴らしい"とは言い難いプレーを見ているファンたちが、とても喜んでいたことだった!

 試合の内容も、欧州リーグやそれ以外のリーグから、優秀な選手を引きつけるような内容だとはとても思えなかった。

 確かにフィールドでプレーしていた日本人選手たちは「このリーグでは高いレベルの存在」であると思えた。褒め言葉に聞こえるかもしれないが、決して良いことではない。この状況を打開するためには、Jリーグはもっと、日本国内の優れた選手のために、海外で高いレベルでプレーする選手、世界的なビックネームを投入すべきだと思った。

 そうすれば、Jリーガーは普段から多くを学ぶことができ、彼らと同じようにプレーしたいという目標を抱くことができる。このリーグで最高の選手でいることだけでは、リーグのレベルは決して上がることはない。進化もしないのだ。

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