【コロンビア戦|戦術検証】勝敗を分けた57分の選手交代。その時ピッチで何が起きていたのか

2019年03月24日 清水英斗

後半スタートからコロンビアはサイドバックが高い位置へ上がってきた

前半は柴崎(7番)と山口のダブルボランチが激しく寄せてボールを奪ったが、後半は一転して……。(C)SOCCER DIGEST

 キリンチャレンジカップの日本対コロンビアは、0-1で日本が敗れた。
 
 森保ジャパンは発足以来、初めてゴールネットを揺らせず。17本のシュートを打ったが、崩し切る決定機は少なかった。この試合で生まれたゴールは、微妙なハンドによるPKの1失点のみ。消化不良感は否めない。ただ、見せ場がなかったわけでもない。中島翔哉のアドベンチャー、香川真司や乾貴士が織り成すハーモニーには舌鼓。ミネラル含みの塩試合だった。
 
 前半は日本優位で進んだはずだが、どこで流れが変わったのか。それはやはり57分、コロンビアがドゥバン・サパタを投入し、4-2-3-1から4-4-2へ変化したところだ。ただし、それだけではない。カルロス・ケイロスの采配は、じわじわと根回しを済ませ、57分の交代カードで、一気に回収したと言える。何が起きていたのか。
 
 試合の流れを振り返るなら、ダブルボランチに着目するのが良いだろう。日本の4-4-2の守備が機能した前半、柴崎岳と山口蛍は、ポジションのかみ合わない相手ボランチ、ジェフェルソン・レルマ、ウィルマル・バリオスに対し、前へ出て激しく寄せ、かなりのボールを奪った。
 

 柴崎と山口が前へ出れば、バイタルエリアは空きがちだ。しかし、相手センターバックがボールを持ったとき、中島翔哉と堂安律は中へ絞って縦パスのコースを切り、そこからサイドへ追い込む。ディフェンスラインも押し上げ、全体をコンパクトに保つ。前半は4-4-2の守備が機能し、日本がボールを奪って多くのカウンターを仕掛けた。
 
 また、コロンビアは日本のプレスを回避するため、バリオスとレルマの片方を最終ラインに下げ、3バック化させた。しかし、それはボールを落ち着けるだけで、堂安や中島を迷わせるような効果的な持ち運びは見られなかった。
 
 変化が起きたのは、後半スタートから。
 
 コロンビアはサイドバックが高い位置へ上がってきた。中島と堂安が、中切りからのチャレンジを、出来ない位置まで。ジェリー・ミナやダビンソン・サンチェスがボールを持ったとき、ハーフレーンが空いていれば、ウイングに縦パスを当て、サイドバックへ落とす。一方、中島らがハーフレーンを遮断すれば、サイドバックへ直接展開する。中島、堂安の守備は、徐々にハマらなくなってきた。
 

次ページ90分のうち戦術がハマった時間が長かったのは、むしろ日本だ

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