裏をかいたハメスの縦パスに解説の都並さんも「うーわあ」。コロンビアの個が放つ圧巻の輝き【蹴球日本を考える】

2019年03月23日 熊崎敬

南野と柴崎は、不意に間を抜かれるとは思わなかっただろう

ハメス・ロドリゲスの巧みなパスセンスは随所に効いていた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ]日本0-1コロンビア/3月22日/日産ス
 
 コロンビア戦を見て、私は素直にこう思った。
 
 南米の人たちはサッカーが上手いですね——。
 
 コロンビアの面々は随所に上手さを見せてくれたが、その中でもふたつ印象に残ったプレーがある。
 
 ひとつは33分に飛び出した、ハメス・ロドリゲスの縦パス。
 
 中盤で左サイドからの横パスを受けたハメスは、スムースにターンして逆方向へと持ち出した。私は、そのまま右サイドへドリブルするか、パスを出すのかと思って見ていたら、まんまと裏をかかれた。ハメスは右へ動きながら、足首を巧みに返すようにして南野と柴崎の間に縦パスを通したのだ。
 これには私も思わず、「おおお……」と声を上げてしまった。
 
 この立てパスに、南米サッカーのエッセンスが凝縮されているといっても過言ではない。
 
 彼らは手練手管を弄して厳重に守られた門を抜き、その先にあるゴールを陥れようとする。この背後の取り合いこそが、サッカーの醍醐味なのだ。
 
 それにしても南野と柴崎は、不意に間を抜かれるとは思わなかっただろう。
 そうそうあることではないが、記者席からゲームを眺めていて、思わず「だまされた!」といいたくなるときがある。
 ピッチを俯瞰する記者がだまされるのだから、間近で相対している相手選手がだまされるのも無理はない。こういうプレーが増えるほどサッカーは面白くなり、チームはゴールへと近づく。
 
 良い子のみんなは、このハメスの縦パスをぜひとも真似してほしい。録画していたら、もう一度見直してください。32分17秒。解説の都並さんも「うーわあ」としっかり声を上げていますから。
 
 もうひとつは後半終了間際に飛び出した、サパタのプレーだ。
 味方キーパーからのパントキックを、背後から小林に押されながら胸トラップしてリフティング。柴崎が小林を加勢しに来たが、サパタは構わずターンして、ふたりを抜き去ろうとする。小林はファウルで止めるのが精いっぱいだった。

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