個人能力で劣る日本代表が「4トップに4バックで対応した」のは正しかったのか?

2019年03月23日 白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

「数的均衡」で徐々に押し込まれ…。

PKに繋がるシュートを放ったサパタは、日本との1対1で高い勝率を誇った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ]日本 0-1 コロンビア/3月22日/日産スタジアム

 コロンビア代表戦の日本代表で興味深かったのが、まだスコアレスだった57分以降のシチュエーションだ。

 57分、コロンビアは右ウイングのセバスティアン・ビジャを下げて、CFのドゥバン・サパタを投入。これでシステムは4-2-1-3から実質4-2-4に変わる。前線には右からハメス・ロドリゲス(トップ下から右ウイングへ)、ラダメル・ファルカオ、サパタ、ルイス・ムリエルが並ぶ超攻撃的布陣だ。

 対する日本は4バックなので、コロンビアの4トップとは「数的均衡」になる。これは個人能力で上回る相手と戦う際、危険な状況とも言える。当然、1対1の状況が生まれやすくなり、個の力でグイグイと押される可能性が高まるからだ。外国人ストライカーが幅を利かすJリーグでも、この状況を避けるために数的優位(最低でも1人は余ってカバーリングに回る)を保つケースが多い。

 日本は4DFに4FWを当てられたうえ、コロンビアのプレス強度も上がったためビルドアップが苦しくなり、わずか数分の間に昌子源が2回もパスミスからボールロスト。その間に61分に室屋成がサパタに抜かれてクロス、その1分後にも佐々木翔がハメスにカットインからのロブパスを許すなど、完全にコロンビアに主導権を握られていった。
 
 そんな押し込まれた展開の中で生まれたのが、63分のシーンだった。左サイドからサパタが上げた対角のクロスを一度はギリギリでクリアするも、こぼれ球を拾われてペナルティーエリア内で再びサパタがシュート。これが冨安健洋の肘に当たり、PKを取られてしまうのだ。

 そのPKをファルカオに決められた後も、76分にサパタのポストプレーからムリエルに独走ドリブルを許してあわや失点のシーンを作られるなど、日本は後手に回るケースが何度かあった。とりわけ厄介だったのがハメスで、右サイドを起点に中央にも入り込むため、マーカーの佐々木がそのまま付いていくのか、それとも味方に受け渡すのかが曖昧になり、良い状態で何度も前を向かれてしまった。

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