「まだまだ差があるなと…」酒井宏樹がパリSGとの“フランス版クラシコ”を戦って漏らした本音とは?【現地発】

2019年03月19日 結城麻里

「エムバペがわざと…」PK献上シーンには不満も吐露

パリSGとのダービーマッチで先発出場を飾ったマルセイユの酒井宏樹。ワールドクラスのアタッカーと対峙し、成長した姿を披露した。 (C) Getty Images

「ミッション・アンポッシーブル(インポッシブルなミッション)だね」

 現地時間3月17日に行なわれた、リーグ・アン第29節。パリ・サンジェルマンとのル・クラシック(フランス版クラシコ)に敗れたマルセイユのリュディ・ガルシア監督が記者会見場で、宿敵に勝つ術について自嘲気味に話していた頃、ミックスゾーンに詰めかけていたフランス人記者たちも、困難な"ミッション"に取り組んでいた 。

 なにしろ選手が止まってくれないのである。1-3で完敗を喫したマルセイユの面々は、記者の問いかけに見向きもしないのだ。腹痛を訴えながらも先発をしたマリオ・バロテッリは真っ先に目の前を通過し、ベンチスタートだったケビン・ストロートマンやディミトリ・パイエも足早に去っていった。

 だが、ミックスゾーンの片隅の一角に集められた日本の報道陣の前には、この日、左サイドバックで先発出場したマルセイユの酒井宏樹が、いつも通りきっちり止まってくれた。

 敗戦の悔しさからか、表情はやや硬く、意図的かはわからないが、普段より少し記者たちとの距離を取りつつも、日本代表DFは丁寧に答えてくれた。

 筆者はまず「プレに感謝ですね」と問いかけた。というのも、後半アディショナルタイム2分に酒井は相手エースのキリアン・エムバペを倒し、PKを献上。このPKを正守護神ステーブ・マンダンダの退場によって途中出場していたフランス人GKヨアン・プレが、セーブしてくれていたからだ。
 
 酒井はこのシーンをこう振り返った。

「はい、本当に。でも、審判にはビデオをちゃんと観てもらいたかったです。もちろん審判の判断はリスペクトしますけど、あれは僕のファウルじゃなく、エムバペがわざと……」

 実際、酒井はこの時、必死にビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)で再審するように要求したのだが、主審はそれに耳を傾けようとしなかった。試合終了間際で試合の趨勢は決まっていたとはいえ、たしかに故意に倒れたようにも見えるエムバペのプレーに、普段はクレバーなサムライ戦士も黙ってはいなかった。

 もっとも、試合を通して酒井自身が抱いていた感触は、決して悪くはなかったようだ。

次ページ何度も漏らした「悔しい」。その真意は?

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