【川崎】先発抜擢の田中碧は後半直前、ピッチ上で中村憲剛と何を話し合っていたのか?

2019年03月10日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

手応えは掴んだが、納得はしていない

急きょ、先発に抜擢された田中。本人は引き分けという結果に責任を感じていたが、自身は攻守両面で質の高いプレーを見せていた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第3節]横浜2-2川崎/3月10日/日産ス
 
 後半が始まる前、ハーフタイムにアップしていた川崎の控え組がピッチを後にする。入れ替わるように、白のアウェーユニホームを着た選手たちが徐々に出てくる。その中のひとり、川崎の背番号25は、タッチライン近くで、この日はベンチスタートだったクラブのレジェンドとしばし、言葉をかわす。
 
「相手の動かし方やボールの動かし方、自分たちの守備のやり方っていうのを、どうやって決めていくかを話し合っていました」
 
 ジャージに身を包んだ中村憲剛に声をかけたのは、田中碧のほうだった。試合直前、先発予定だった大島僚太が左足に違和感を覚えて欠場となり、急きょ、出番が回ってきた20歳のMFは、「相手にけっこう自由にボールを持たれていた部分があったので、自分たちがどういうふうにするかを整理しながらプレーしていました」と前半を振り返り、中村に助言を求めたようだ。
 
「自分の意見も含めて、いろんな意見をもらったほうがチームとして良くなると思うので。そういった意味で、憲剛さんに聞いていました」
 
 記者席から見ると、身振り手振りを交えて中村に話しかける田中の姿があった。自分の考えをぶつけながら、先達の意見も取り入れて、プレーの修正を試みる。貪欲な向上心が伝わってくるワンシーンだった。
 
 1-1で迎えた後半、一時はつきはなす展開も、ラストワンプレーでセットプレーから失点を喫し、2-2のドローに持ち込まれる。
 
 フル出場した田中は試合を通じて、間違いなく攻守にハイパフォーマンスを見せていた。本人も少なからず手応えを掴んではいたようだが、しかし納得はしていない。
 
 無限のポテンシャルを秘めた男は、視線を落としたまま、静かに言葉を絞り出す。
 
「最終的に引き分けになってしまったのは、自分のせいなので。正直、今日はそこしかないというか。この結果が、自分の中では反省です。次はこうならないようにしなければいけないですし、しっかりと取り返さないといけない」
 
 この責任感の強さも、さらなる成長を促す糧になるはずだ。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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