【浦和】“マジカルドリブラー”汰木康也の本領発揮。「ひとりで抜ける自信はあった」

2019年03月07日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「なぜ使ってくれないんだ」という気持ちが正直あった

ブリーラム・ユナイテッド戦では得意のドリブルで魅せた汰木。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 数年前、山形を率いていた石﨑監督が「うちには面白いドリブラーがいる。ボールを持てば本当に上手い。ただ、決定力がね……」と言ったのを今でも強く覚えている。それからだ。汰木康也のプレーに注目するようになったのは。内に切れ込むドリブルが得意で、木山体制下の山形ではシャドーなどのポジションでチャンスメーカーとして機能していた。
 
 そんな汰木が"浦和デビュー"となったACLのブリーラム・ユナイテッド戦(19年3月6日)で魅せた。2-0で迎えた84分、興梠に代わってピッチに入ると、その4分後に左サイドからのカットインで相手選手を翻ろう。華麗かつスピーディなドリブルからのクロスで橋岡のゴールをアシストしたのだ。
 
「浦和ではまだ試合に出ていなかったので、自分のことはスカウティングされていなかったと思います。ああいう緩急で縦に行くとか、中に切れ込んで行くドリブルは事前に分かってないと止められないはずです。だから、ひとりで抜ける自信はありました」
 
 とにかくドリブルは一級品だ。「キレと精度を上げていかないと」と本人は言うが、そのテクニックはおそらくJ1レベルでも通用するだろう。実際、汰木は「なぜ使ってくれないんだろう」という気持ちが正直あった。
 
「ゼロックス杯、開幕戦、札幌戦は『自分が出ればチャンスを作れるのに』と思っていたので悔しかったです」
 
 だからこそ、この日は気合いが入っていた。
 
「今日もしチャンスをもらえたら、そこで結果を残さないと次はないと思っていました。出場時間は10分あるかないかぐらいでしたけど、そこで自分の強みを出さないとという感じでしたね。欲を言えばゴールを決めたかったですけど、とりあえずアシストという目に見える結果を残せて良かったです」
 
 "マジカルドリブラー"汰木の浦和での挑戦はここからスタートしたと言える。オリヴェイラ監督の信頼をひとつ勝ち得たことで、リーグ戦でも出番が回ってくるかもしれない。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
 
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