【岩本輝雄】守備で見せた内田篤人の“凄み”。あの瞬時の判断力はまさに欧州レベルだよ

2019年03月05日 岩本輝雄

登里を止めたのが“SB”のウッチーだった

フロンターレ戦では伊藤のゴールをアシスト。攻撃面でもハイパフォーマンスを見せたけど、本職の守備も“一流”だった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 3月1日に行なわれたフロンターレ対アントラーズというビッグマッチで、一番の輝きを放っていたのが、アウェーチームの背番号2、ウッチー(内田篤人)だった。
 
 今季の公式戦初出場となったウッチーは、主戦場の右SBで先発フル出場。個人的には、彼のプレーをライブで見るのは、実に久々のこと。長い期間、膝の怪我に苦しんでいて、ドイツから戻ってきた去年も、いくつかの負傷に悩まされて不本意なシーズンを送っていたと思う。そんなウッチーが、フロンターレとの大一番でどんな活躍を見せてくれるのか楽しみにしていたけど、期待を上回るパフォーマンスだったね。
 
 21分に伊藤翔の同点弾をお膳立てした正確なロングフィードはもちろん、サイドチェンジもビシッと通すし、右サイドを攻め上がってからのクロスも質が高かった。状況を見極めて、ここぞという時のワンプレーが実に効いていた。
 
 たぶん、このゲームではそんな攻撃面の働きがクローズアップされているように思うけど、SBとしての守備技術にもうならされたね。
 
 後半のある場面で、ウッチーと同じサイドにいるフロンターレの登里が、中に絞って攻め上がってきた。たしか、アントラーズのボランチがつり出されてできたスペースに入り込んできたと思う。それを止めたのが、"SB"のウッチーだった。
 
 タッチライン際にポジションをとるSBが、自分の持ち場を離れて中央に行くのは、けっこう勇気がいること。自分が守るべき場所を留守にして、そこにパスを通されて崩されるのは避けたいからね。日本人選手はわりとそういう傾向にあるし、僕も現役時代にSBでもプレーしていたけど、飛び出して、それで自分のサイドからやられたら自分のせいにされるから、あまり持ち場を離れなかった(笑)。
 
 でもウッチーは違った。登里を止めたディフェンステクニックはもちろん、飛び出す判断が本当に速かった。今、その瞬間、どこが最も危険なのか。それをすぐに察知して、行動に移して、成功させる。誤解を恐れずに言えば、日本人っぽくなかった。やっぱり、ドイツであれだけバリバリやっていた選手だなと思った。
 
 その判断には、1秒もかからなかったと思う。あのエリアで登里を自由にさせたらヤバい、このタイミングなら自分の持ち場を離れてもOK、さてどうやって潰すか、などなど。瞬時にいろんな情報を複合的に考えて、アクションを起こす。ヨーロッパっぽかったし、例えるならレアルのカルバハルっぽかった。SBとして、一流だと思った。

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