大分指揮官が目を細める稀有な才能!俊英左SB・高畑奎汰に漂うブレイクの予感

2019年03月04日 柚野真也

1点を追う大事な場面、片野坂監督は最後のカードに18歳を選んだ

2節の松本戦でJデビューを飾った高畑。指揮官からの期待は高い。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J1リーグ2節]大分0-1松本/3月2日(土)/昭和電工ドーム大分

 開幕戦のアウェー鹿島で金星を挙げたチームは、1週間後のホーム開幕戦に向けて自信が過信に変わっていたのかもしれない。片野坂知宏監督は試合後に「準備はしたが表現できなかった。何となくやれる、何となく点が取れるという甘さがあったかもしれない」と力なく語り、深く反省した。
 
 2日前に敵地に移動し、コンディションを万全の状態に整え、相手の長所を全て消す戦い方を徹底した松本に対し、勝利への貪欲さが劣っていたことは否めない。「サッカーの基本である戦う気持ちが、相手のほうが上回っていた」と藤本憲明も認めた。昨季J2で最後まで優勝争いを演じ、今季は残留の最大のライバルとなる相手に勝点3を与える失態。J2最少失点を誇った松本の盾に、最多得点を記録した自慢の矛が全く通じずシュート1本に封じられ完敗だった。
 
 重苦しい試合の中で光明を見出せるとしたら、大分アカデミー出身のルーキーがJリーグデビューを飾ったことだ。
 

 今季、ユースから唯一トップ昇格した高畑奎汰。左利きの攻撃的なサイドバックとして、精度の高いキックを武器とする。Uー16日本代表にも選出された将来有望な選手だ。
 
 松本戦2日前の紅白戦でも主力組の最終ラインに入ってプレーした。その時、すでに片野坂監督の頭の中では「戦力のひとり」として構想が固まっていた。「ルーキー1年目だがチームの意図をよく理解しているし、よく走れる」。そして、ピッチに送り出す前に「準備してきたことをやり切れ!」と檄を飛ばされたそうだ。松本の堅守に対し、昨季の主力だった星雄次、10得点を挙げた後藤優介ではなく、新たな才能に命運を託したのだ。
 
 1点を追う大事な場面、85分に片野坂監督が最後のカードに18歳を選んだのは期待の現われだ。高畑は最終ラインの左でプレーし、積極的にボールに絡んだ。
 
「短い時間だったのでやることはハッキリしていた。サイドからの攻撃、クロスからのアシストを狙っていた」
 
 その言葉通り、アディショナルタイム3分に思い切って攻め上がり、得意の左足でクロスを上げた。ニアに飛び込むオナイウ阿道にわずかに合わなかったが、確かな見せ場を作った。
 

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