開幕戦の出来は「レベル1」――名波監督が志向する磐田の新戦術は機能するのか

2019年02月28日 サッカーダイジェストWeb編集部

攻守のキーマンである山田は「課題のほうが大きいゲームだった」と反省

開幕戦で攻守に奮闘した山田が、冷静にチームの課題を語った。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

「コンビネーションが噛み合っていないところがまだまだある。同サイドに人が集まっているのに、さらにそこに寄っていってしまうとか、崩しのイメージを共有できている選手が少ないとか。個々の力を出しながらチームとしてどう戦うかについて、課題のほうが大きいゲームだった」
 
 ドローに終わった初陣をそう振り返ったのは、開幕前に名波監督に今季のキーマンのひとりとして名前を挙げられた山田だ。
 
 ボランチで先発した山田自身は、随所に好プレーを見せた。ピッチの状況を的確に把握し、攻撃を組み立てながら守備でも奮闘。ピンポイントクロスで川又の同点弾をアシストしただけではなく、相手カウンターの出所をいち早くケアしたことで勝点1に大いに貢献した。開始早々の失点以降、磐田はボールを持ったが、実質的な主導権は自陣にバランスの取れたブロックを敷きハイプレスとスピーディなカウンターを繰り出す松本に握られた。相手プレスのターゲットとなった中村が精彩を欠くなか、攻守を牽引したボランチの読みと献身がなければ、スコアは違ったかもしれない。
 

 しかし試合後、山田の表情に満足はなかった。
 冒頭の言葉は、新しくトライしている攻撃についてのもの。名波監督は今季、「SBがインサイドに入ってビルドアップに加わる」新戦術を導入。開幕戦は、昨季終盤から左SBを務めている高橋、右SBに抜擢された松本が積極的に上がり、中央寄りのポジションで攻めに加担した。
 
 何度か良い形もあったが、ペナルティエリアへの侵入や決定機につながったのはわずかだった。攻めあぐねたのは、両SBの動きに対応されたこともあるが、山田が振り返ったように、相手守備の上を行く意図の共有や連係が希薄なことが最大の原因だった。
 
 サイドに人数をかけるも展開ができずに後方にボールを下げ、プレッシャーを受けてカウンターを浴びる場面も散見。右サイドハーフのロドリゲスが左サイドに流れ、左サイドハーフのアダイウトンや高橋と"渋滞"を起こす一方で、逆サイドで松本が孤立したり、動き出してもボールが出ないために1トップの大久保が下がりゴール前に誰もいなくなるなど、混沌とした状況も生まれた。

次ページ新たなチャレンジは得点力アップに繫がるのか

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事