浦和2年目の職人肌ボランチ、柴戸海への評価はなぜ高い? 監督・コーチ・チームメイト、三者の見方

2019年02月27日 佐藤亮太

同じポジションの青木拓矢は「当たり前のことを当たり前にできる選手」と評価

ゼロックス杯では王者・川崎と激突。柴戸は途中出場し、中盤のディフェンスを強化した。(C) SOCCER DIGEST

「監督、もしかして柴戸海は好きなタイプの選手じゃないですか?」

 今月14日、開催された2019Jリーグ キックオフカンファレンス。会場に設えたブースにいた浦和レッズのオズワルド・オリヴェイラ監督に聞くと、大きく二度うなずき、こう続けた。
「柴戸は若く、ポテンシャルがある選手。どこまで伸びるか分からない未知数の選手だ」

 多少のリップサービスはあるにしろ、柴戸への期待感はそれほどまでに大きい。

 柴戸は昨季、明治大から浦和に加入。序盤、ケガで出遅れたものの、リーグ27節(9月23日)のホーム神戸戦から公式戦11戦連続出場。最終節のFC東京戦ではプロ初ゴール。出番は決まって試合終盤だが、出れば流れを変えるプレーを随所に見せた。

 柴戸は特段身体が大きいわけでもなければ、正確無比のパスを出せるわけでもない。にもかかわらず、オリヴェイラ監督から将来性を見込まれ、同じポジションの青木拓矢からも「柴戸の良さは当たり前なことを当たり前にできること。でも、これってなかなか難しい。それが柴戸にはできる」と、高い評価を得ている。

 周囲からここまで評価されるのはなぜか? ヒントは昨年7月下旬の大原サッカー場にある。全体練習が終わった真夏の昼下がり。ピッチの片隅に柴戸の姿があった。コーチと長い日は1時間近く、居残り練習を行なった。内容はミドルシュートを打ち続ける日もあれば、空中戦を想定したヘディング練習とさまざま。汗みどろのメニューは何日も続いた。
 
「皆と同じ練習だけでなく、プラスアルファでやらないといけない。夏だけに夏期講習はしっかりやらないと(笑)」と柴戸。こうした鍛錬が公式戦11試合連続出場につながるのだが、柴戸にとって居残り練習は特別ではない。伸ばしたいプレー、不得意なプレーの練習は大学時代から地道にやってきたからだ。

 出身校である明治大学体育会サッカー部は人数が多いうえ、強豪校、クラブユース出身の選手が集まる。当然、1年生から試合に出られる選手は稀。ならば、どうやってレギュラーを奪うか? そのためには何をしなければならないのか?を考える。気持ちを腐らせてはそこでおしまい。自身と語らい、実践し、やり続けた選手のみが公式戦のピッチに立てる。この厳しい環境で柴戸はレギュラーを掴み、主将を務めた。つまり柴戸はプロとして生きるため、いま大学時代の追体験をしていると言っていい。
 

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