「手本」はバロテッリからC・ロナウドへ。ユベントスの超逸材FWが意識改革で急成長中!

2019年02月26日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

性格的に自由を好み制約を嫌いがちで…。

かつてはバロテッリ(左)に憧れていたケーン(中央)だが、現在は真のプロフェッショナルとして知られるC・ロナウド(右)から多くを学んでいる。写真:Getty Images

 イタリアの2000年以降生まれのストライカーでは、随一のポテンシャルを誇ると謳われるのが、ユベントスのモイゼ・ケーン(2000年2月28日生まれ)だ。
 
 2016年11月に16歳でセリエAとCLにデビューし、17年5月にセリエAで初ゴールを記録。いずれも2000年生まれのプレーヤーとしては、史上初のレコードだった。18年11月にはイタリア代表入りし、こちらも2000年生まれで最速のアッズーリ・デビューを果たしている。
 
 コートジボワール人の両親を持つ移民2世で、破格のフィジカルとテクニックを兼備する超逸材は、10代半ばの頃から特長が似ているマリオ・バロテッリと比較されてきた。ただ、イタリア・サッカー連盟の育成年代代表統括コーディネーターとして、14歳の頃からその成長を見守ってきたマウリツィオ・ヴィシディ氏によれば、その比較論は悪影響をもたらしていたという。
 
「ケーンは性格的に自由を好み制約を嫌いがちで、ディシプリンという面では扱いづらい側面もある。以前は『バロテッリがアイドルだ』と公言し、その横柄で反抗的な姿勢にまでも影響を受けて真似しているようなところがあった。トレーニングに取り組む姿勢もプロフェッショナルとは言えず、集中力を切らしたり手を抜いたりするケースが少なくなかったのだ。ピッチ外の食生活や生活習慣なども、プロとして決して模範的とは言えなかった」
 
 しかし、ここ最近はメンタル的に大きく成長しているという。鍵となったのは、ユベントスの判断だ。昨シーズンはヴェローナにレンタルしたが、今シーズンは出場機会が減るのを承知で手元に置く決断を下した。ヴィシディ氏はこう言う。
 
「そのバロテッリがどういうキャリアを送っているかを目の当たりにしただけでなく、ユベントスでクリスチアーノ・ロナウドという新しいロールモデルと共に過ごすようになって、サッカーに取り組む姿勢が劇的に改善された。実際、今シーズンに入ってからのここ数か月で、その点が明らかに変わってきている。その意味で今シーズンはレンタルに出さず、出場機会が減るのを承知でトップチームに留め置いたユベントスの判断は、絶対的に正しかったと言える」
 
 今シーズンはここまで76分間の出場に留まっているケーンだが、ピッチ内外でC・ロナウドから多くを学び、本格ブレイクへの足場を築いているようだ。
 
取材:片野道郎
※好評発売中の『ワールドサッカーダイジェスト3月7日号』より一部転載。同号の特集は「2000年代生まれのニューヒーロー」で、新世代の逸材を一挙に紹介・分析している。
 
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