驚異の個人能力! 名古屋を救ったジョー、説得力抜群の2ゴールと周囲の証言が示すその価値

2019年02月24日 今井雄一朗

開幕戦は危うく試合を持っていかれそうになったが…

開幕戦で早くも2ゴールを挙げたジョー。今季も大暴れしそうな雰囲気だ。写真:徳原隆元

[J1リーグ1節]鳥栖0-4名古屋/2月24日/駅スタ
 
 まさにJリーグに降り立った"フェノーメノ"である。鳥栖との開幕戦をアウェーで戦った名古屋は、試合の半分以上を苦戦していたにもかかわらず、結果としては4-0の大勝を収めた。一度火が点いたら止まらない集団だということは昨季の夏を思い出すまでもなく、風間体制における名古屋の特徴だが、その"点火"に手間取ることも少なくないのが悩みどころ。しかし今の彼らには強い味方がいるのである。言わずと知れた元ブラジル代表にして昨年のリーグ得点王、FWジョーである。今季の開幕戦、危うく試合を持って行かれそうになったチームを救ったのは、紛れもなく彼の個人能力だった。
 
 今思えば明らかなウェイトオーバーだった昨季のことは以前にも書いたが、体重を絞っておけば大丈夫かと言えばそう簡単な話でもない。問題はストライカー、点取り屋としての能力や勘をどこまで研ぎ澄ますことができるか。それは公式戦が始まってみなければ分からない部分だからだ。また、単純なクロスやロングボールなどに頼らない名古屋のようなチームでは、自身の状態が良くてもチャンスボールが届けられないことだってままある。キャンプでの練習試合でもそういった場面は多々あり、公式戦になってみてどうか、という見方はやはりあった。
 
 そこに文字通りの一発回答を示してみせたのだから、やはり怪物である。前半から硬さが目立ち、鳥栖の守備的な試合展開にペースを合わせてしまった名古屋は、序盤から悪循環の連発で、後半になってもその傾向はなかなか改善されずにいた。守備陣の奮闘とランゲラックのビッグセーブによって、なんとか失点を免れてはいたものの、このままではどこかで…と思われた63分、右からの展開から丸山祐市が送り込んだ縦パスをうまく収めたジョーは、DFをブロックしつつターンし、左足を一閃。文章で書くほど簡単なシュートではない。しかし、彼はそのワンチャンスをものにして、チームに鼓動を取り戻させたのだった。
 
「あの先制点でガラッと変わって、チームが自信をもってやれるようになった」
 前半はボールを持つたびに、古巣サポーターからのブーイングに晒されていた吉田豊が、その価値を証言していた。
 

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