4冠奪取のキーマンになるか?川崎期待の新助っ人レアンドロ・ダミアンが見せた能力の片鱗

2019年02月12日 江藤高志

中村曰く「アバウトなボールでも結構チャンスになる可能性が出てきている」

元セレソンの実力を発揮し始めたL・ダミアンは、川崎に新たなゴールパターンを提供してくれそうだ。写真:滝川敏之

 沖縄合宿最終日の2月9日。期待のレアンドロ・ダミアンがその能力の片鱗を見せた。高さ、強さを活かした攻撃でG大阪の守備陣を圧迫。注意を引きつけることで、他の選手がフリーになる場面を作り出し、また頭の折返しで小林悠のゴールをアシストした。
 
 G大阪戦後、中村憲剛はL・ダミアンについて「最前線でバトルして抜けたり、ポストプレーしたりというほうが相手は怖いと思う。あとは単純にクロスからアシストしたみたいに、アバウトなボールでも結構チャンスになる可能性が出てきている」と述べ、大きな武器になる可能性を指摘している。ここで中村が言及するアシストとは、クロスボールを頭で落とし、小林の得点をお膳立てした場面。ここ数年の川崎にはなかった形だった。
 
 L・ダミアンを使いこなすために必要なもののひとつとして、中村は「オレらの頭を変えなければいけない」と述べている。川崎のサッカーに当てはめるだけでなく、川崎のサッカーをある程度、L・ダミアンに合わせるべく「ダミアンこうだよというところと、ダミアンを上手く使いたいところを、ぼくらもバージョンアップさせていかないと」と、言及している。
 
 L・ダミアンというハイクオリティのストライカーを得た川崎のサッカーが今季、変質していくのかどうか。注目していきたいところ。
 
 そのL・ダミアンは、一定の成果を出したG大阪戦後「練習で確認するようなコンビネーションのところであったり、そういうところは出せたかなと、いうことで今日はいい形で締めくくれたかなと思います」と成果を口にしている。
 
 またL・ダミアンの高さについて鬼木監督は「オプションという意味では少しずついろいろな上積みにはなってきているかなと思います」と語った。
 

 川崎のFWは前線からの守備が求められるが、その部分についてもL・ダミアンは与えられたタスクをこなそうとしており、それができているかどうかはさておき試合出場のための最低限の役割は把握しているようだ。
 
 1月16日からスタートした宮崎・綾町での合宿から、2月9日の沖縄合宿まで合宿期間中の川崎の練習をすべて取材して来たが、L・ダミアンに限らず新加入選手については心配していた。技術が求められる川崎の練習について行けていない場面が散見されていたからだ。
 
 特に気になったのが、毎回の練習で必ず行われてきた鳥かごだった。合宿初期のL・ダミアンは思うようにボールを回せなかったが、これは基本的にどの新加入選手も付いていくのがやっとのメニューで、次第に慣れる様子が見て取れた。
 
 L・ダミアンについては、まだ繊細なパスワークや攻守の切り替えのところで課題は残すように見たが、それにしても最後はある程度アバウトに仕事をやれる強さを持つことを示せたのは大きい。
 
 4冠奪取に向け、川崎がひとつのオプションを手に入れつつある。
 
取材・文●江藤高志(川崎フットボールアディクト)
 
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