森保ジャパンが直面した重い現実。日本が個の力で圧倒するのは、もはや歴史でしかなくなった

2019年02月02日 佐藤俊

日本が世界の尻尾を追うなかで、アジアの国々は着々と力を蓄えていた

決勝のカタール戦は完敗。チーム力の差は確かにあった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 決勝でカタールに1-3で屈し、日本は2大会ぶりの優勝を逸した。
 
 13年前にカタールに渡り、U-15世代から今のチームの中心選手たちを鍛え上げ、平均年齢24歳という若さながら極めてタフなチームに作り上げたサンチェス監督の手腕と、そのほとんどが帰化選手とはいえ、カタールの国家的強化育成が実を結んだ結果といえよう。
 
 2022年、自国開催のワールドカップではグループリーグ突破が最低のノルマになるが、このまま順調に成長すれば、そのワールドカップでの活躍はもちろん、今後、アジアのワールドカップ予選でカタールは非常に危険な国になる。そのことを日本の選手を始め、アジアの多くの国が感じ取ったことだろう。
 
 今回のアジアカップは、日本を取り巻く環境がいっそう厳しくなったことを証明した大会になった。グループリーグではラクに勝てた試合はひとつもなく、決勝トーナメントに入ってからはサウジアラビア、ベトナムに1-0の辛勝。イラン戦は3-0だったが、力の差はスコアほど感じなかった。もう1回戦えば、どちらが勝ってもおかしくはないほどの強さをむしろイランに感じた。
 

 日本は98年フランス・ワールドカップ最終予選で初めてアジアの壁を突破し、ワールドカップの出場権を獲得して以来、欧州や南米の列強国に追いつくことを目標にやってきた。黄金世代が生まれ、中田英寿ら突出した選手が出てくるなか、06年ドイツ・ワールドカップ最終予選では厳しい試合はあったものの、個の力は日本が秀でており、アジアの国々とは差があった。この時も1試合を残して予選突破を決めている。
 
 そうしてワールドカップ最終予選は勝って当たり前になり、本大会でいかに結果を出すか。そこに日本はフォーカスし、多くの選手が海外へと飛び出していった。その成果はロシア・ワールドカップでベスト16に進出した戦いのなかで垣間見ることができた。
 
 だが、日本が世界の尻尾を追うなかで、このカタールのようにアジアの国々は着々とサッカーの力を蓄えていたようだ。日本は、ワールドカップで勝つことを目標に世界に目を向けていたが、いつの間にかアジアの国々に足下に迫られ、とりわけ西アジアの国の勢いに飲まれそうになっている。
 

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