なぜマンCは板倉滉を獲得したのか!? クラブの思惑と過去の実例から紐解くリアルな評価【現地発】

2019年01月30日 松澤浩三

地元紙の番記者は小さめな記事内で…

世界中の逸材が青田買いをされてシティに加わった例は、枚挙に暇がない。これまでケースと比べながら、板倉の未来を予想する。 (C) Getty Images

 まったくのノーマークだった。

 冬の欧州移籍市場が開く目前の昨年12月末から、実際に幕が開けた1月初旬にかけて、日本人選手たちの動向で注目されていたのは、レスターの岡崎慎司の去就、それから中島翔哉(ポルティモネンセ)や堂安律(フローニンヘン)のプレミアリーグ挑戦の可能性だった。

 そんな中、今月中旬に日本で、川崎フロンターレに所属していた板倉滉のマンチェスター・シティ移籍が一斉に報じられた。情報ソースは、その板倉をシティから2020年夏までの期限付きで獲得したオランダのフローニンヘンだった。

 フローニンヘンは、2017年夏に堂安が移籍して一躍ブレイクを遂げたクラブ。今では日本代表にも定着した未来のスター候補が所属しているだけに、当然、日本の各報道機関は、同クラブに関する情報を頻繁に確認しているのだろう。

 そのためか、イングランド国内でシティが板倉を獲得したという報道は、日本のそれよりも少し遅れた。また、取り扱われ方も非常に小さく、記事にしている媒体自体少なかった。

 筆者は、シティのメディアチームからプレスリリースを受け取れる報道関係者用のメーリングリストに登録しているため、普段はクラブに新選手が加入した際、メールが送られてくる。しかしながら、板倉の件については、何も情報は送られてこなかった。これは、トップチームに加入する選手ではない場合には、よくあることだ。

 その一方で、気になる点もある。この記事を執筆するにあたり、シティの公式サイトで、どのような規模で扱われていたのかを確認しようとしたのだが、契約が決まってから2週間以上が経った時点でも、クラブからの正式な発表はされていないのだ。

 また、英語はもとより、クラブの日本語公式ツイッターでも、板倉獲得について何ら触れられた様子はない。これこそが現時点で、シティが下している板倉への評価なのである。

 マンチェスターの地元紙『Manchester Evening News』でシティ番を務めるスチュアート・ブレナン記者は、今月16日付けの同紙で、板倉獲得についての小さめの記事を書いている。

 ブレナン記者とは、数年前まで『ワールドサッカーダイジェスト』誌で頻繁に仕事をしていたこともあり、電話でもよく話していた関係だ。そのため、彼がクラブ内の人間と近しく、得てくる情報は信憑性が高いことも心得ている。その彼が、今回の獲得についてこう記している。

「日本のU-21代表でプレーする板倉は、労働許可証の要件を満たしていない。しかしながら、彼の獲得はシティ・フットボール・グループ(CFG)主導とみられている」

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